第118話 第六話 その6 木の上の賢者

「う~ん…イズサーン…イズサーン…」


 木の上でうなされているへんてこな生き物があった。


 ちゅん助であった。


「は!?」

「おわっ!?」

「落ちるうううう!なんじゃあ?ここ!?」


 目覚めた場所が木の上とは知らず、危うく足を滑らせて落下しそうになり、すんでの所で枝にしがみついた。


「な!?なんでわしこんなとこにおるん?」

「わ、わしこう見えても高所恐怖症やで!?」


「なに?」

「よく鳥が電線に止まってても平気そうだし感電しないって?」

「うんうん!確かにそうだお!」

「って!」

「わしは鳥じゃないお!」

「あんな季節が変わるたびに長旅せないかん奴らと一緒にするなお!」

「あと感電せんのは奴らが電力会社に契約金納めてるからだお!」

「って!」

「一人ボケ突っ込みとウソタコまるまるやってもうたわ!」

「ちな、ウソタコまるまるは嘘八百のことやで!」


「は!?」

「イズサンは!イズサンはどうなったお!?街の様子は相変わらずやばそうだお!」

「こうしちゃおれん!またあの広場に戻らねば!」

「う~ん!にしてもこんな高いとこに運んでくれた奴は誰かお?」

「バカと煙は高い所がすきだから運んでくれたお?ってやかましいわ!」

「……アカン…ツッコミ役不在ではどうにもキレが悪いわ!」


「さっさと戻らねば!」

「とはいうものの…こんなクソ高い所は怖いお!こんなとこから!」

「お…降りられるのかよ!?」

「by南米ジャ〇ロー」

「ぶわっはっは!わし、こんな時にネタぶっこんでくるとは面白すぎワロタああああw!」

「って!」

「つまらんわ!」


「なんとか!なんとかせんと!」

「いいや!やればできるお!やれる!わしはやれるお!」

「やれるな!?」

「ちゅんコオオオオオーーーン!」


「………」

「アカン、やっぱ怖いおw足がガクガクやがな!」

「ガクガク?」

「か、からだが!が、ガクガクしちゃうううwwwってわしが言ってもエロくもなんともないおw」


「どうする?どうする?」

「こんな時、大抵のアニメやったらコウノトリさんみたいなのが飛んで来て!」

「運んでくれるもんと相場が決まってるのだが…」

「鳥同士だけにね!」

「…って鳥ちゃうわ!」

「あかんあかん、わしは高所弱い男だお、ん?」


 ガサガサガサ!


「ひ!ひえぇええええ!」

「一人で大騒ぎし過ぎて!灰色どもに嗅ぎ付けられたあ!」

「木の根元にあんなに集まってきちゃってるううううう!」

「鳥さん!コウノトリさん!はよう助けに来てくれだお!」

「あかんお!あかんお!これで完全に下には降りれんくなった!」

「なんちゅう密集具合だお!わし一羽にたいしてなんちゅう膨大な数あつめとんねん!」

「って!羽数で数えんなや!鳥ちゃうわ!」


「だがな!クソ蟲共!」

「わしは下には降りんぞ!」

「天上人たるわしは地蟲の貴様らと戯れる程、暇じゃないわ!」

「残念だったな!」

「便所蟲しょく~んwいつまでもじべたで這い回ってわしを見上げながら!」

「ちゅん助は酸っぱいに違いない!を延々やっててクレメンスw」

「わはははははははw」


「おら!クソ蟲!木の実爆弾攻撃じゃいw!」


 ピュッ!ポコッ!

 ピュッ!ポコッ!

 ピュッ!ポコッ!

  

「ぶわっはっはw!目を瞑っても当たるわw!」


 ツルッ!

「おわッ!!!」

 ガシッ!


「危ない危ない!勢いあまって落ちるとこやったわ!」

「クソ蟲しょく~ん?落っこちると思った?」

「落っこちると思った?」

「ざんね~んwわしは落ちません!」

「ぼくはおちましぇん!」

「ぼぐはおちましゅええええんwww!」


「キー!」

「キー!」


「ん?」

「怒った?怒っちゃったの?」

「悔しかったらここまで上がってきておいで!おしりぺんぺんw」


 ガサゴソガソゴソガサ!


「ん?!」

「わわ!こ、こいつらガンガンに積み上がりおって!」

「わああああ!まさか家の2階どころかこの高さまで積み上がれるのかお!!??」

「ひ!ひょええええええ!みるみるうちに積み上がってくるウウ~!」

「く!来るなお!来るなお!こないでクレメンス!」


「やばいお!やばいお!」

「わ、わしは美味しくないんだお!食べないでほしいお!」

「こう見えてエロい事ばっか考えてるから!脳みそつまって無くてスカスカなんだお!」

「可愛く見えても、腹黒いので喰ったら腹こわすんだお!」


「わあああああーーーーーー!!!あっと言う間にこの高さまできたああ!」

「ふぁふぁーーん!(←泣いている音)もうだめだああ!」


「キッキッキッキッキ!」


「わああんw!」

「そ、そんな殺る気満々の鳴き声出さないでほしいおwww」

「あかーーん!」

「もはやこれまでえ~!」

「おもしろき~こともなき、この世をおもしろく~♪」


 ニヤリ!


「などと諦めると思ったか!」

「しづこころなくわしはちらんお!」


 シュタタタタタタタタ!

 ピュウウウウウウウウウーーーーーーーーーーン!!!!


「ぶわっはっは!クソ蟲諸君!」

「わざわざ立派な足場を作ってくれてありがとうだおw!」

「我が動きは疾風!」

「足場さえあれば!」

「貴様ら鈍間なクソ蟲どもは!」

「わしに触れる事すら出来んわw!」


「さらばだ!あけちく~ん!またあおうw!」


 ピューーーーン!


 華麗なる?ちゅん助の大脱出劇!!!


「待っとれお!イズサーーン!」


(くっ!とはいうもののダメージは回復しきれてないお…体中が痛くて重いお…)


 第六話

 その6 木の上の賢者

 終わり

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