第82話 第五話 その9 幻覚除け

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「ぐわっ!?」

「みゃあああああああああああああああああああああああ~!!!!????」


「か、辛ッ!何だよこれ!激辛唐辛子ひゃねーか!」

「ああああああああああああああ~!」


「ひ、ひくらはんへもはらふひるほ!」

(いくらなんでも辛すぎるぞ!)


「ひはいお!はらいお!ひんでひまうほ!」

(痛いお!辛いお!死んでしまうお!」


「はんはんはよ!ほれ!」

(なんなんだよ!これ!)


「ひらんはな!へんはふほへにはるっへひいたんあお!」

(知らんがな!幻覚除けになるって聞いたんだお!」


「はっはく!ひっふもはへのははらんほほほっへひやはっへ!」

(全く!いっつも訳の分からんもの持ってきやがって!)


「あああああああああああああ~!!!!!!」


 ちゅん助が差し出した奇妙な実は激辛、辛いというレベルを超えて痛い!


 フッ酸が身体にかかると針のような結晶をどんどん生成し痛いどころの騒ぎでないと言うが、ひょっとしたらこんな感じではないかと思うほど辛かった!

 激辛料理はそこそこイケル俺でも辛いのに、口がおこちゃまな台湾ラーメンの辛味噌部分を人に押し付けてくるレベルのちゅん助にとっては地獄のレベルの辛さだった。


 未だに床を転げ回っている。


「あああああああああああああ~!!!!」



「ほ、ほらへんはふにもひっははらんはふだはな…」

(そ、そら幻覚にもひっかからん筈だわな…)


「ひふ~!ひふ~!」

(みず~!みず~!)


「おい…お前ら、グソクと戦う前に死んじまうんじゃねーか?」


 武器屋の親父の視線が痛い…


「ひゅんふけ!ほまえ!はすけにきはのか!?ひゃましにきたのか、どっちだよ!」

(ちゅん助!お前!助けに来たのか!?邪魔しに来たのか、どっちだよ!)


「ひふはん!ほのあふきひゅうひょうのひふなおうたはうなんてひほいお!」

(イズサン!この熱き友情の絆を疑うなんてひどいお!)


 全く!感動したらエライ目に遭った…


 しかしこうしてる間にも街の状況は刻一刻酷くなっていってるはずだ、行くぞ!


「まあいいさ!いい気付けにはなった!行くぞタバサ君!」


「おうだお!みちゃき君!」


「オヤジ!ありがとう!恩に着るぜ!」


「良いって事よ!頼むぜ、勇者!」


「だから、それは!」


「任せるお!」

「わしとイズサンはこういう事態に備えて前々からあらゆるトラブルを解決する訓練をして来たのだお!」


「だからゲームの話はやめろや!」


 俺は武器屋で借りた装備を身に付け飛び出していく!


「舌どころか鼻もやられちまって臭いが全く分からんお…」


「言っておくが!」

「お前のくちばしに鼻の穴は全くないし!」

「くちばし自体開いたの見た事ないからな!」

「舌だってあるのかどうか…」


「え!?マジで!?」

「ペルペル出来ないのは困るお!」


 お前の体に鼻、舌があるのか?と言うツッコミは置いといて辛い物がてんで駄目なちゅん助は味覚どころか嗅覚もやられたらしい…


 俺はというとまだ舌はひりひりするものの、なんとか回復したが、ちゅん助は辛さのせいで俺の頭上から落っこちて、さらに平衡感覚までどうにかなっているらしく、再び頭上に登る事が出来ないらしい、いまだにフラフラとした足取りで俺の足元に必死について来ている…


「イズサン!武器いっぱいだなお!」

「最終決戦仕様だお!」


「……」


「わしも青葉区の初出撃で、れんぽーの白い悪魔を墜とした時を思い出すおw」


「嘘つけ!」


 場合によってはその青葉区とやらより遥かに酷い惨状かもしれないのに、ちゅん助が呑気に足元で厨二病を発病させている…

 まあ、こんな状況に自ら飛び込んでしまった俺が言えた義理ではないか…


 ザク!

 ザク!


「初めて使ったけどたしかにあの子が言ってた通り、対グソクなら槍の方が使えるかもな!」


「おう!槍でやり直すんだお!」


「……」

「さあ、首尾よく武器屋で武器を補充できたがこっからのプランがあるわけじゃない、どうするか…」


「とりあえず遊撃だお!」

「広い場所は四方から囲まれたらまずいお!」

「かといって狭い路地でも挟み撃ち、頭上から降って来る危険性があるお、難しいお…」


「やはり、さっきお前が言ってた戦える奴と合流して共闘がベターか…」

「ガレッタ隊長の部隊が動けていればだが、そこに合流すれば一番生き残れるか…」


「なんとか他の傭兵部隊でもいいから合流するお!」

「まともに生きてればの話だが…」


「よし行くぞ!」


「おうだお!」


 第五話

 その9 幻覚除け

 終わり

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