第62話 第四話 その23 神愛生物
「見とれよ!イズサン!わしにはいま!」
「幸運を呼び寄せる幸せの招き猫もついとるのだお!」
「吹けよ疾風!」
「呼べよ嵐!」
「っぴゅ!?」
「燃えろわしの炎!」
「焦げ付くほどにひーと!」
「っぽぉ!?」
「引くで!UUUR!」
「にゃーん!」
「どっかの動画マネジメント会社みたいになってんぞ!」
呼応するかのように、カウンターの猫がちゅん助に撫でられて気持ちよさそうな鳴き声を上げた。
「行くぞ!がんばっぺー!ひーとあっぷガールズ!」
「ここが勝負だお!」
「絶対に外さぬ!」
「行くお!アスカ派!みんな大好き!アスカスキーの名のもとに!」
「式惣不滅は覇者の風よ!白色時代を赤に染め!…」
(いつもの流れ…ここからが無駄に長い…)
ガシッ!
「うっさいわ!はやくやんなさいよ!」
「わわ!何する!」
「あ!まてだお!必殺の儀式の邪魔しな…」
ビュン!
ドコッ!
「ぐああ!」
間抜けなちゅん助の茶番に付き合ってられるかとばかり、少女はいきなりちゅん助を鷲掴みにして天令石に投げつけた。
シンシンシン
俺の時の激しい光と違い、天令石は不穏な低いかすれる様な音を発し妖しく光る。
ヤバい雰囲気が満載であった…
「お?お?見ろお!」
「イズサン!ひょっとしたらこれ!SSR確定演出だお?」
「アホか!そんなわけあるか!」
俺の心配をよそに、ちゅん助は夢中で天令石に抱き着き、ぽこぽこ叩きながら結果を待っていた。
「夕暮れになれ~!」
「夜満点の星になれ~!」
「流星!」
「ロケット!」
「電柱横切ってさらに樹を!」
恐らくスマゲー11月の白雪イレブンのSSRの確定演出の事を言っているのだが、当たりの期待が大きい時の演出を口にしながらちゅん助はヒートアップしていった!
「こいおー!こいおー!」
恐ろしい程の執着!
こんな下らない事に、中身46歳のおっさんがここまで、ここまで…
ちゅん助…ああ…お前、どうしてこんなになるまで放っておいたんだ…
「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ちゅん助の集中が頂点に達した!
「出ました!」
「天令!」
「不敗の魔導常勝天才神獣不死鳥闇邪神麒麟地水火風雷闇光東西南北前後左右上下中央全立体角不敗!ちゅん助降臨!キター!」
スパーン!
「アホか!」
「なにその牛丼並つゆだくねぎだくご飯だく肉だく最初っから特盛頼んどけ!」
「全部載せ的表現は!」
「そんな天令あるかっ!」
「あなたの天令は…」
「うむ!くるしゅうない!言うてみせい!」
「天令は…」
「続きはウェブで!」
「とかは要らんからなお?」
「お前!散々自分はやって、人にはさせんのか…?」
「天令は…その……神愛生物です!」
「シンアイセイブツ?」
「おほー!ちょっと可愛いくなっちゃったけど!」
「神に愛されし生き物!」
「こらぁ神獣間違いなしだなお!?」
少女と小炎、旋風が真顔で固まってちゅん助を見つめながら、身体をワナワナ、プルプルと震わせていた。
まさか!
神愛生物ってのは、ひょっとして凄い生き物なのか?よくある醜いアヒルの子みたいに、成長するととんでもない神聖な生物に生まれ変わるみたいな???
「で、おねいさん、神愛生物ってなあに?」
「強いんだお?」
「神愛生物と言うのは…」
「と言うのは?(ゴクリ)」
「と言うのは…」
「………」
「ペットの事です!」
第四話
その23 神愛生物
終わり
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