第12話

 千花は、清楚な白いブラウスにスカート姿だった。可愛らしい姿であったが、ゲームコーナーにおいてはいささか可憐すぎる装いのように感じられた。


 千花は、俺と一緒にいるのはマユだと確認してから千花はそっぽを向いた。


「まって、千花!」


「別にいいわ。だって、私は許嫁なんていらないんだから」


「誤解だ!」


 俺は、千花の手を掴んだ。


 小さくて、柔らかな手だった。


その手の感触を確かめつつ、俺は千花を引き寄せる。


「マユとは一緒に遊んでいただけなんだ」


「でも、私は真琴のことが好きよ」


 マユは誤解を招かきそうなことをいう。千花は、俺をゴミでも見るような目でみていた。


「その女子と仲良くしていればいいでしょう。あなたは許嫁がいればいいんだから」


「俺は、千花がいいんだ!」


 俺は、叫んだ。


 俺の叫びに驚いた周囲の客が驚く。


 けれども、俺はかまうものかと思った。


「俺は許嫁は、千花がいいんだ。千花じゃないとダメなんだ」


 俺の告白に、千花の眉間の皺がますます深くなった。


「どうして、あったばかりなのにそんなふうに言うの?」


 千花の疑問。


 俺は答える。


「一目ぼれなんだ……」


 千花は、マユの方を見る。


「あの子は、なに」


「マユは、その友達で……明日のデートの練習をさせてもらってたんだ」


 千花は、その答えにあきれ返っていた。


「デートの練習って」


「よかったら、今から本番をさせてくれ」


 俺の言葉に、千花は少しばかり戸惑った。


 だが、すぐに返事を帰す。


「買い物に付き合ってくれるだけならばいいよ」


 千花の返事に、俺はガッツポーズをとる。人によってはデートとは言えないかもしれないが、俺にとっては大きな進展だった。


「どこにいくんだ?」


「書店コーナー」


 簡潔に、千花は答えた。

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