第40話 アウトレットへ行こう

家からそう遠くないところにアウトレットモールがある。

そのアウトレットモールは休日になると駐車場までの道に渋滞が起き、モール内も人混みが発生する。


僕たちはそれを承知しているため、連休中は絶対近寄らず、普通の土日にしか行かない。それも、一日中滞在することはほとんどなく、朝イチに行き、狙いの物を買ったらすぐ帰るという手法を取っている。渋滞や人混みは僕のような田舎者にとってはものすごくストレスなのだ。



しかし、その日は違った。



珍しく妻がいろんなお店を回りたいと言い始めたのだ。

この日は普通の土日であるし、夏休みやイベントに被ってはいなかった。比較的空いている方であろう。



だが、僕は嫌だった。


僕の抵抗と妻の説得という珍しい構図をご覧いただこう。




『狙いのやつ見たらすぐ帰るよ』


「今日は色々見たいの。」


『また今度来てあげるから。それかお姉ちゃんとふたりで来て。』


「えー、お願い!息子の服も見たいし、私の服も色々見たいの。」


『昼になったら絶対混むから嫌だよ僕』


「今日はそんな混まないよ。たぶん。」


『混むって。土日は昼からすごく混むんだから。』


「ゴールデンウィークとか夏休みに比べたら全然だよ!」


『当たり前だろ!GWとか夏休みなんて人がゴミのようだ!!』


「だから、それに比べれば全然今日は大丈夫!」


『いや、ダメ。人混みダメ絶対』


「夫は息子とベンチ座って休んでていいから!それかゴルフ用品店見てきていいから。」


『金もないのにゴルフ用品店行っても買えない不満が募るだけですけど。』


「お昼は好きなもの食べてもいいから。」


『いや、すぐに家帰ってうどんでいいです。』


「お願いー!14時過ぎには終わらせるから!」


『えー!?まだ10時よ?あと4時間もこんなところにいるわけ!?』


「だってここ広いんだもーん。」


『だもーんじゃないよ。だからいつも決めてるでしょ?目的絞って短期決戦だって。』


「でも、今日は息子の服とか化粧品とか財布とかお洋服とか色々見たいんだもん。最近来れてなかったから。」


『嫌だよー。本当に人混み嫌いなんだって。歩いてる人の顔見てるだけでイライラしてくる。』


「そんなこと言わないで。疲れたら車で待っててもいいし。」


『そんな時間かかるんだったら僕と息子は電車で先に帰るから、妻ちゃんはひとりで車で帰ってきなよ。』


「やだ!ひとりは寂しい!」


『えー、僕も嫌だなぁ。』



「じゃあ夫にはゴルフウェア買ってあげるから!」




『よし!14時までな!僕は息子とゴルフ用品店行ってくる!』



質問:アウトレットへ行こう

結論:小遣い制はモノで釣られると弱い

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