第39話 一番好きなケーキは?
僕たち夫婦が甘いもの好きというのは以前書いたと思う。その時はアイスクリームに言及したわけであるが、甘い物の最高峰と言えばやはりケーキなのだ。
僕たちはお互いが仕事で頑張った時や、家族にとって良いことがあるとケーキを食べる習慣のようなものがある。
近所には何軒かケーキ屋さんがあり、今日はここのお店にしよう、今回はあっちのお店にしようとあらゆるケーキ屋さんを転々としている。
そうしていれば様々な種類のケーキに出会うわけだが、どこのケーキ屋さんに行っても必ずといっていいほど注文が決まっている。
僕はチーズケーキ
妻はチョコケーキ
オシャレな模様を施したケーキには目も暮れず、旬な果物が乗ったタルトには目も暮れず、当店おすすめNO1にも目も暮れず。
決まってそれらを注文するのだ。
だから、どちらか一方だけで買いに行ってもどれにしようか悩む必要がない。
僕はチーズケーキならなんでも好きだ。レアでもスフレでもベイクドでもなんでもカモンだ。
妻もチョコケーキならガトーショコラでもブラウニーでもオペラでもなんでもOKなわけだ。
お互い好きなものを頼むのだから、僕たち夫婦お決まりの趣味嗜好の醜い言い争いがないのである。
注文するものが2個ならそれでいい。
そう、2個なら。
・・・。
では、3個は?
たまにあるのだ。
ひとり2個はいらないけど、1個はなんか寂しいよね。お店で2個って頼みづらくてなんか3個頼んじゃうよね・・・って時が。
そうなると1つのケーキを半々で分けるということになるのだが、そうなれば始まってしまうわけだ。
あの醜い争いが。
僕『僕はショートケーキがいいな。無難なやつで。』
妻「えー。変わったやつ食べようよ。」
『変わったやつでハズレ引いたらなんか悔しい。』
「つまんなくない?」
『つまんないってなに。ショートケーキはどこの店も美味いんだって。ハズレはない。』
「私チョコケーキだから2個目はもうちょっとさっぱりしたものがいいな。」
『えー、全然甘くていいんだけど。くどいくらい甘いのがちょうどいい。』
「てか、ここの店のショートケーキは甘さ控えめだよ。」
『え?』
「え?」
『え?なんで知ってるの?いつ食べたの?』
「いや〜・・・」
『え!僕に黙って食べたことあるの!?』
「違うよ!人から聞いたんだよ!」
『今そんな言い方じゃなかった!え!いつ?いつ食べたの?』
「くどいくどい!お前が一番くどいわ!」
『うわー。僕に内緒でケーキ食べに行くなんてずるーい。』
「わかったよ!じゃあ今回は夫の好きなもの頼みなよ!」
『やったー!』
「ちっ、余計なこと言ってしまった。」
『じゃあたまにはモンブランにしようかな!』
「ショートケーキじゃないんかい!」
『甘さ控えめのショートケーキはそんな好きじゃないから・・・。』
質問:一番好きなケーキは?
結論:くどいくらい甘いショートケーキは美味しい。
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