第35話 洗濯は朝?夜?

僕たち夫婦には家事の役割分担がある。

僕は洗濯を担当しているのであるが、僕が担当になるまでに長きに渡る戦いがあり、今に至っている。


そう、それは今から3年ほど前、まだ明確に役割分担がされていない時のことであり、僕が洗濯担当大臣に就任するほんのきっかけになったお話である。


平日のとある日の夜、妻が洗濯をしていた。



夫『なんで妻は夜に洗濯やるの?』


妻「朝にバタバタしたくないからだよ。」


『夜に洗濯したら生乾き臭するし、お隣さんに迷惑だよ。』



この時はまだアパートにふたり暮らしをしていた。



「そんな大きい音出てないからお隣にまで聞こえてないよ。生乾き臭もしないし。」


『朝早く起きてやればいいんじゃない?洗濯機は予約できるし、起きる時間に合わせてやればそんなにバタバタしないと思う。』


「仕事疲れてるんだから朝はゆっくり寝ていたいの。面倒なことは夜に終わらせておきたい。それに、夜に干せば次の日仕事から帰ってきたらほぼ間違いなく乾いてる。」


『そりゃ乾くだろうけど、かなりロースピードで乾くから服が臭くなるんだよ。だから今度から朝に洗濯するようにしよう。』


「嫌だ。てか、そんなことより夫の干し方が気に入らないんだけど。」


『え、いきなりなに?なにが気に入らない?』


「もっと綺麗に干して?干す前にパンパンってやってシワを伸ばしたりとか袖がくるくる丸まってないように見たりとか。」


『そんな細かいこと今はどうでもいいでしょ。臭いの方が問題だよ。』


「私はこのやり方以外嫌だから。しかも臭いなんて全然気にならないし。」


『気になるって。タオルとかすごい臭うもん。妻ちゃんも気づいてるでしょ?』


「それ洗剤のせいでしょ?夫がこの洗剤の匂いが好きじゃないだけ。」


『絶対違うって!洗剤の匂いだとしたらその洗剤作った会社にクレーム入れるレベルよ?』


「勝手に入れてろ。」


『とにかく、朝に洗濯して欲しい!』


「嫌だって。」


『じゃあ洗濯は僕が全部やる!それならどう?僕の責任で洗濯から畳むまで全部やるわ!』


「私のやり方があるから勝手にやられるのは困るんだけど。」


『それじゃあどうすりゃいいんだよ!』


「今まで通りで。」


『くそぉ・・・。』



–翌日–



「生乾き臭がしない洗剤買ってきた。」


『お!マジ?それいいね!それなら夜干しても大丈夫そうだね!』


「じゃあ今日の洗濯から使ってみようね。まずは昨日干した洗濯物を畳もうか。」


『おっけー。』


「こうしてこうして。」


『ちょっと、妻ちゃん!』


「なに?」


『畳み方汚い!もっと綺麗に畳んで!』


「こんなのどうでもいいんだよ。小さくなってれば。」


『それ嫌だ。妻ちゃん畳むの下手!これはこうしてこうすれば綺麗でしょ!?』


「わからん!どうでもいい!じゃあ夫がやれ!私畳むの嫌いなんだよ!」


『わかった!僕がやる!妻ちゃんは口出さないで!』



こうして、自ら洗濯作業の一部を引き受けてしまうことになった僕。これはのちに洗濯作業の全てを担当することになる僕のほんのきっかけのお話でした。


質問:洗濯は朝?夜?

結論:僕が担当になった今でも洗濯は夜してます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る