第31話 パスタが食べたい?

妻は大のパスタ好きである。

自宅では妻がお手製のミートソースを作るのだが、いつも創意工夫を凝らして様々な具材や調味料で変化をつける。


しかし、その具材の中に決して海産物が入ることはないのだ。


我が家では妻の料理に口を出すことは禁忌とされ、言ってしまったが最後、飯抜きの刑に処される。



しかし、僕は言いたい。


《海鮮ミートソースパスタを食わせてくれ!!》


と。



『妻ちゃんのミートソースパスタって美味しいよねー。好きな料理TOP3に入るわ。』


「ほんとー?じゃあ明日のお昼はパスタにしよっかなー。」


『いいね!』


「今回は何入れようかなー。」


『たまには変わった食材使ってみては?』


「たとえば?」


『んー。かいせ・・・』

「それはなし。」



・・・。



食い気味で拒否された。だが、あきらめない。



『イカとかどう?お店でよくあるし。妻ちゃんのソースにマッチすると思うんだ。』


「私イカ食べられないから。」


『じゃあ貝は?』


「貝も食べられない。」


『妻ちゃんは食べられないんじゃなくて、食わず嫌いでしょ?食べてみて?本当に美味しいから。』


「イカは食感が気持ち悪い。貝はキモい。」


『食べたら美味しいんだって。』


「やだ。おい、いい加減にせんとご飯作らんぞ?」



『・・・はい。すいません。』


「私が好きに作るんだから口出すな。そういうの食べたかったら外で食え。」


『妻のが食べたかったのになぁ。』


「なんで自分の嫌いなものわざわざ作らなきゃならんのだ。」


『おっしゃる通りです。』



またこうして僕の要求は通らなかった。



「あ、エビならいいよ。」



『お願いします!!』



エビは好きな妻のおかげで、ついに海鮮ミートソースパスタが食べられることになった。




質問:海鮮パスタが食べたい?

結論:イカと貝はまた今度お願いしよう。

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