第28話 神の姉登場

妻は双子である。

一卵性双生児でそっくりの姉がいる。

髪型までそっくりのため、ぱっと見では僕でも区別がつかない時がある。なんなら妻の両親ですら間違える時がある。


まだ息子が産まれる前のとある平日の夜。

仕事から帰宅した時のことだ。


『ただいまー』


「おかえりー」


『あれ、お風呂は?』


「まだ入れてないよ」


『あ、そうなの?じゃあ僕が入れてくるね。』


「ありがとー」


『今日のご飯は?』


「今日はうどんだよー」


『珍しいね。夜はいつも米なのに。』


「たまにはいいじゃない」


『うん、まぁ別にいいけど。』


「仕事疲れた?」


『ん?ああ、仕事?まぁ普通。いつも通りだよ。』


この時多少の違和感は感じていた。

いつも僕が帰ってくるタイミングで風呂を沸かしているはずが沸かしていなかったり、晩飯が米じゃなかったり、いつも聞いてこない仕事の話を聞いてきたり。


帰ってきてもあまり妻の顔を見ないもんだなと後になって思う。


『じゃあお風呂沸いたし入ってこようかな。』


「私も入ろうかなー」


『うん、いいよ。』


その時は特に気にもせず浴室へと向かった。

脱衣所で服を脱いでいると、彼女が入ってきた。


「気づかないもんだねー」


『え?なにが?』


「私姉だよ?」


『うわあああ!!』


「あはははは!」


『全然気付かなかった!なにしてるの!?』


「影武者ごっこ!」


『いや、マジでビビったわ!一瞬頭が真っ白!姉ちゃん本当に何してるの?妻は?』



どうやら姉さんは明日仕事が休みで暇だからうちに遊びに来たとのこと。妻はケーキを買いに行ったらしい。


「急に来てごめんねー。てか、お風呂入るんじゃなかったの?」


『いや、あとでいいや。』




「本当に一緒に入る?」




『ばっ、ばかやろー!』



妻と容姿はそっくりでも性格は少し違う姉様であった。



質問:神の姉登場

結論:姉と僕は性格や考え方が似ていて、なんでこの2人が夫婦じゃないんだろう?と思うことがたまにある。

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