第27話 プレゼントしたい!(2)

妻の欲しいものを聞き出すことに成功した僕はそのヘアブラシを購入し、妻の誕生日に渡す算段を立てていたのである。


妻はお花が好きだから、気持ち程度の花束も用意した。


–誕生日の夜–


『妻、お誕生日おめでとう!』


「ありがとう!もう30になっちゃった。」


『ちょうど節目だし、いつも頑張ってくれている妻に渡したいものがあります。』


「えー、なに?」


『これどうぞ。』


「わー。ありがとう!」


まずは花束でジャブ。妻は嬉しそうに花束を受け取り、花の匂いを嗅いでいた。


『あと、これも。』


「えー、まだあるの!?」


『うん。妻が欲しいって言ってたやつ。』


「あー!これ寝癖に効くヘアブラシじゃん!これこれ!すっごい嬉しい!ありがとう!」


『どういたしまして。』



成功した。

妻は愛想笑いとか演技はしない。つまり喜んでいるということは本当に嬉しい時なのだ。







「私からもこれあげる。」


『え?』


妻がなにやら僕に差し出してきた。

紙袋に入ったモノ。

その紙袋には僕の大好きなゴルフメーカーのロゴが。


「欲しかったんでしょ?」


『こ、これは・・・?』


「ゴルフウェアだよ?トップスとボトムスのセット。」


『えー!嬉しい!でもなんで?僕誕生日まだだよ!?』


「私も夫の誕生日にプレゼントしようと思ったけど、来週の日曜日ゴルフでしょ?早く着て欲しくて。」


『ツマァ・・・。』


「来週これ着てゴルフ行ってきてね。」


『ありがとう!でも僕がプレゼント渡さなかったら妻の誕生日に僕が妻からプレゼントもらうっていう変なことに。』


「夫が私の誕生日プレゼント用意してるのバレバレだったから大丈夫。この前の一万円がどうのこうのってやつ私の欲しいもの探ってたんでしょ?」


『え、バレてたの?』


「うん。」


『うわああああ。恥ずかしい!』


「そんな探りなんて入れてこなくても、私は夫がくれるものならなんでも嬉しいよ。何年も前に鏡をもらった時だって他に使ってた鏡あったけど、嬉しくて夫からもらったやつばかり使ってたもん。」


『あの時の鏡を今でも大事に使ってくれてありがとう。』


「私は夫からもらえればどんな安いモノだって嬉しいし、大事に使うよ。このヘアブラシも大事に使わせていただきます。」



探りを入れてた自分が逆に探られていたなんて全く気づかなかった。妻は全て知っていたのだ。改めて妻には勝てないなと思った妻30歳の誕生日の出来事でした。


質問:プレゼントをしたい?

結論:プレゼントは気持ち。

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