第26話 プレゼントしたい!

僕は妻に対して何か贈り物をしたことがほとんどない。

付き合いたての頃にディズニーの鏡をプレゼントしたっきりのような気がする。


今でも妻はその鏡を大事に使っていて、もう7年になるが、相変わらずピカピカで新品のようである。


息子が産まれてから自分のことよりも息子第一で生きてきた妻に何かプレゼントをしてあげたいと思う。


妻はサプライズ的なものが好きなタイプであるからこっそり買って贈りたいのだ。


しかし、ここでいつもの問題が生じる。


妻のセンスと僕のセンスは一致しないことである!!


妻は自分が欲しくないものなら露骨にいらないな〜って顔をする。だから、何をプレゼントするか、それは非常に難題なのだ。


それでも妻が欲しいと思っているものはなんとなくわかる。


・ヘアドライヤー(高機能のやつ)30,000円

・某ブランドのバッグ 68,000円




うん、高い。

小遣い制の僕では手も足も出ない。


だから、探りを入れることにした。

もっと安価で妻の欲しいものを。



『もし一万円がタダでもらえたとしたらどうする?』


「なに急に。」


『一万円って色々買えるけど、それほど高価な買い物はできないでしょ?それの使い方でその人の性格が出るみたい。』


「ふーん。」


『どう?』


「夫はどうするの?」


『僕は新しいゴルフウェアを買うかな。』


「そっか。」


『妻は?』


「私は貯金するかなー。」



ちょ、貯金・・・。

なんて面白味のない回答なんだ。


『貯金はナシ!必ず使わなきゃダメ。』


「じゃあ息子のお洋服買うかな。」



む、息子・・・。

なんて母親らしい回答なんだ。


『他人のものはナシ!自分のために使うもので!』


「えー、今別に欲しいものとか無いしなー」


『わざわざ買うことはしないけど、貰えたら嬉しいなーとかそういうものはないの?』


「貰えたらなんでも嬉しいけど、特に欲しいものは無いなー。」


『ぐぬぬ。絶対一万円を使って!』


「なんでそんな必死なの?心理テスト的なやつ?」


『いや〜、心理テストってほどでもないんだけど。この前同僚と話してて盛り上がったからさ。』


「あっそ。まぁ、しいて言うならヘアブラシかな。」


『ヘアブラシ?』


「ほら私寝癖すごいし、朝って結構時間ないでしょ?簡単に寝癖が直るヘアブラシあるって聞いたからさ。」


『ふむふむ。なるほど。ヘアブラシね。』


「で、これはどこで盛り上がるの?」


『あのー、そうだね。イマイチ盛り上がらないかもね。』


「つまんな。」



聞き出せた!目標達成!

ヘアブラシだ!


それから僕は妻の欲しがっているヘアブラシを探し出し、購入した。僕の小遣いでも買える価格設定で助かった。


実行は妻の誕生日。




次回、《こんなはずでは・・・。》

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