第12話 占有したい?
僕の家にはテレビがひとつしかない。リビングにひとつ。
だから、息子を寝かしつけたあとに始まるのだ。
テレビ争奪戦が。
「私は東○王★見たい。」
『いやいや、今日はホ○マでっか⁉︎TVでしょ。』
妻はお笑いに興味がなく、ドラマやクイズ番組などが好み。
一方僕は大のお笑い好きで、ドラマにはあまり興味がない。クイズは嫌いじゃないのだけれど。
「じゃんけんしよ?負けたら大人しく譲ること。」
『いや、ダメだ。俺は妻にじゃんけんで勝ったことがほぼ無いから、負けるとわかってて勝負する馬鹿ではない!』
「じゃあどうするの?」
『ちょうど東大○★やってるからクイズで勝負しよう』
「本当は○大王見たいんでしょ?」
『違う。全然見たくない。勝負にちょうどいいだけ。はい、次の問題で勝負ね。』
テレビの中の
「んー・・・」
『んー・・・あっ』
「えっ!ちょっと待って!まだ待って!」
『わかっちゃったかも〜』
「うっそー、私全然わかんない。」
『もう正解言っていいっすか?それと同時にチャンネル変えますけど。』
「えー。」
『正解は、[あかもん]です。』
「は?あかもんってなに?」
『あかもんが何かは知らんけど、ガラケーの[1]を一回押すと[あ]になるでしょ?他のも同じようにやると、あかもんになるよ』
「あー、そう。なんかなー、違うんだよなぁ。」
『なにが?』
「コレじゃない感?負けた気がしない感?もう一問やろ。それで勝負!」
『俺今勝ったのに!?ホンマでっ○⁉︎TVもう始まってるって!見せてよ!』
「いいからいいから。もう一問ね!」
テレビの中の
『あ、わかった』
「はあああ!?早くない!?」
『すぐピンと来たわ!たぶん嫁ちゃんいくら考えてもわからないと思うよ。嫁ちゃん国語苦手だし。』
「国語関係あるの?ならわからないや。いいよ正解言って。」
『正解は[T]。枕草子の冒頭のことだよこれ。春はあ(A)けぼの、夏は夜(Y)、秋は夕(Y)暮れ、冬はつ(T)とめて。』
「ほーん。よく知ってるね〜。」
『でしょー?楽しいねクイズ!もう一問やろうか!』
「いや、もういいや。テレビは夫にあげるわ。私寝るね。おやすみ〜」
『・・・。』
クイズに勝って、勝負に勝って、テレビ争奪戦に勝ったのに何故か負けた感を味わった僕であった。
質問:占有したい?
結論:クイズは面白い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます