第5話 赤?ベージュ?
男というものは好きな人を自分色に染めたいという欲求がある。
自分が好きな色(趣味)の下着を着てもらうことはそれだけで欲求が満たされる。
のではなかろうか。
『なあ、妻?このブラジャー可愛くない?』
通販雑誌を見ていた僕はモデルの女性が着用していた真っ赤な下着に心を惹かれた。
「えー?赤?私似合わないかもー。」
『そんなことないよ。妻は色白だし、赤がよく映えるんじゃないかな。』
「誰かに見せるわけじゃないんだし、なんでもいいよ。」
『俺が見るでしょ!』
「夫なんてどうでもいい」
笑いながら放った言葉が僕の心に突き刺さった。
これは引けない!
負けられない!
絶対赤の下着を買わせてやる!
『この下着をつけた妻ちゃんを見てみたいなー、きっと可愛いんだろうなぁ。』
「だから夫はどうでもいいって。私はベージュとか地味なやつの方が好き。」
『べべべべベージュ?そんなのダメだよ。妻ちゃんのサイズならわさわざベージュを選ぶ事ないでしょ?』
「はあああああ?それどういう意味だ!?小さいから種類いっぱいあるって言いたいんか?あ?」
ついベージュは可愛くないって言いたかったのに、妻のお可愛いサイズに口出してしまった。
『違う違う違う!!ベージュは可愛くないってこと!赤の方が可愛い!』
「ベージュでいいんだって。ていうか、私赤持ってるよ。」
『え?』
「え?」
『持ってるの?』
「あ、うん。持ってるよ。真っ赤なやつ。」
『俺見たことないよ?』
「あー、そうだっけ?見たことないっけ。そっか、じゃあ今度着てあげるよ。」
『いやいや、付き合ってからもう7年一緒にいるけど、一回も見たことない。』
「そっかー。」
『ええぇ。いつどこで着てたの・・・。』
妻不貞の疑惑が湧いた瞬間であった。
質問:赤?ベージュ?
結論:夫(彼氏)の知らないところで女性はいろんな色の下着を着ている・・・かも。
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