2話

 毎日の様に繰り返される母親からの暴力、そんな日々から救われる事を諦めた頃、私は高校生になっていました。

 私の事を人として扱った事のない両親が私を高校に通わせてくれるというのは、世間体を気にしての行動か、親としての唯一の恩情か、今となって知る由もありません。

 とにかく、家にいる時間を少しでも減らしたかった私にとって、高校に通えるというのはとても都合が良かった。

 私は、入学と同時にすぐさまアルバイトの面接に応募し、放課後は週五日間アルバイトをしていました。

 そうやって少しでも多くの時間を外の世界で生活をしていましたが、それでも必ず家にいるは時間は存在し、私が家にいる事が少なくなった分、母親からの暴力は以前にも増してエスカレートしていきました。

 このまま死んでしまうのではないか、そんな感情が頭をよぎる日も、幾度となくあった。むしろ、このまま死ねたら楽になれたのに……と考える程に、あの日々はとても苦痛でした。虐待を繰り返す親たちの、本当に残酷な部分は、自分の子供を殺す覚悟を持っていないところなのだと、私は思います。




 学校とアルバイトに明け暮れる毎日、全てが終わり家に帰ると、母親からの暴力が待ち受ける。高校生になって半年、そんな日々の繰り返しに、私は精神的にも肉体的にも疲れ果てていました。

 そんなある日、いつもの様に学校とアルバイトを終えて帰宅し、お風呂へ入り、部屋で服を着ようとしていた時でした。突然、私の部屋に父が入って来ました。

「な……なにか用事ですか?」

 私が産まれてからずっと、一度たりとも私に関心を持った事が無かった父が、何故ここに来たのか。あまりにも訳が分からず、動揺する私の言葉を無視して、父は下着姿の私をいきなりベッドに押し倒しました。

 突然すぎる父の行動に、思わず声を上げそうになりましたが、口を押えられた私は、声を上げる事も許されませんでした。

「声を出すな」

 そう言うと、父はカチャカチャと自分のベルトを外し、ズボンを下ろしてパンツを脱ぎ捨てました。形容しがたい恐怖に怯える私の目には赤黒く屹立した男の象徴が飛び込んできました。それを一目見た瞬間、これから何が行われるのか、私は一瞬で理解し、私の中の恐怖は数十倍にもふくれあがりました。

 父は私の秘部を守る布を無理やり横にずらし、固くそそり立ったソレを押しつけてきました。恐怖しか感じていない私の膣は、勿論濡れて等いませんが、父は気にも留めず、ソレをゆっくりと私の中へと挿れていきました。

「んっ……」

 今まで感じた事のない痛みと、異物が入ってくる形容しがたい感覚に、思わず声が漏れそうになり。それを感じ取った父は、先程脱ぎ捨てたパンツを拾うと、それを丸めて私の口内に無理やり押し込みました。

 父の一物が私の奥深くまで挿入され、その結合部からは血が滴っていました。しかし、そんな事はお構いなしと言わんばかりに、父はゆっくりと腰を前後に動かし始めました。初めの内は痛みだけが私を襲っていましたが、徐々にそれは、得も言われぬ快楽へと変わっていきました。さっきまで濡れて等いなかったのに、いつの間にか室内には、ぬちゃぬちゃという水音が響き渡っていました。母にばれたくないからか、肌と肌がぶつかる音を立てない様にと、父がゆっくり動いているせいで、私の中を満たしている逸物の大きさや形が、否が応でも伝わってきました。

 先程まで処女だった私でも理解できました、彼のソレはその辺の男性よりも立派で、多少性行為が下手でも、生娘なら簡単に堕ちてしまうだろうと。その証拠に私はもう、この甘美で罪深い快楽に、いつの間にか堕ちていたのですから。




 行為はどれだけ続いていたのだろうか、正気に戻った時には既に、父の姿はありませんでした。残ったのは、室内に充満している何とも言えない匂いと、私の割れ目からドロドロと垂れている乳白色の体液だけでした。

 私はそこにゆっくりと手を伸ばし、中に指を入れてぐちゅぐちゅと弄りました。そして指にその体液を絡ませ、顔の前まで持ってきてまじまじと見つめました。父と私の体液が混ざったソレは、一度収まったはずの肉欲を再び呼び起こさせるようで、形容しがたいその香りは、空虚な私の心を満たしました。そして、ソレを口内へと運び、舌で転がしてゆっくりと味わい、飲み込みました。

 私はもう、いつの間にか壊れていたのだと、理解した時にはもう、手遅れでした。

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