第27話 長い夢からの目覚め

 ……

 …

 ・


「はっ!」


 俺は目が覚める。


「みっ、美空。どこに居る!」


 俺は飛び起き、美空が居ないか部屋中を探すが、当然美空は居ない……

 俺はやはり夢なのかと思い、部屋に戻るとテーブルの上は空き缶と、飲みかけの強アルコール系飲料と、食べ散らかしたおつまみ類が置いて有る。

 こちらの世界が現実なんだろう……


 俺は人形の事を思い出して、テーブルの端に置いて有る人形を確認するときちん座っていた。


「今までの全部……夢?」


 俺は思わずそう呟いてしまう。布団も敷かれてないし、テーブルの上は酔い潰れていた時から変わっていない。

 俺は飲みかけの強アルコール系飲料を口に付けると……


「うぁ! ぬるいし、炭酸抜けているし、アルコールきつい!!」


 缶の表示部分を見ると、アルコール分12%と記して有る。


「よぅ、こんなの買ったな……」


 散らかっている、テーブルの上を片付けて台所に向かうと、シンクの中には鍋と丼鉢が入っている。


(いつの間にラーメン何か食べたんだ?)


 俺は不思議に思いながらも洗い物をして、部屋に戻りスマートフォンで時刻を確認すると……


(あれ、今日って5日だろ?)

(何で、7日なんだ?)


 スマートフォンが壊れたのかと思い、テレビを付けて日付を確認すると、やはり7日のようだ。

 俺は財布の中に有る、コンビニで買ったレシートを確認する。


(やっぱり、コンビニのレシートは4日だよな……俺って丸々3日寝ていたわけ!?)


 そんな馬鹿なと思いたいが、レシートは嘘をつく訳は無いし、テレビも嘘はつかない。

 きつねにつままれた気分で、取り敢えず寝ようと思い布団を敷いていると、床の端に紐状の物が転がっているのに気付く。

 俺はそれを拾い上げるとリボンのようだ。しかし、俺はリボンを買った覚えも無いし、プレゼント何かも貰った覚えも無い。


(このリボン…見覚えが有るな……!!!)


 リボンを見て完全に思い出す!

 これは美空の付けていたリボンだ!

 本来は、俺が餞別せんべつを渡さないと行けないのに、美空からプレゼントで貰ったリボンで有る!


「どういう事だ……。これは夢か現実か?」


 夢ならリボンなんて有るはずが無いが、この辺の事は詳細に覚えているから、俺が今居る方が現実だろう。

 そうなると、美空は俺と一緒に生活をしていた事に成るが、美空の姿は良く思い出せない……


 テーブルに置いて有る、置き人形を持ち上げて見るがその子に変化は無い。只、美空の面影と人形の子が良く似ていた……

 リボンが有ると言う事は、リボンだけは本物だったのか!?


 しかし、美空が透明に成った時にリボンは消えていたから、このリボンは何なんだろう?


 夢から覚めたと言うべきか、まだ夢の中に居るのかは分からないが、時間も真夜中だし、取り敢えず寝ようと考えて俺は眠る事にした。

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