第28話 思いがけない出来事

 翌日……


 普通に起きても、当然美空は居ないし生活にも変化が無い。

 朝食を食べて少し落ち着いた所で、俺は今まで見ていた夢を思い出す……


 人形が人間に成ったこと。そして、その人に美空と名付けとこと。美空に生活指導を受けながら改善して、最後は大企業のグールプ企業に就職出来たこと。


(……しかし、リアルの夢だったな…)

(仮想体験でもした気分だよ!!)

(しかし、就職活動をしなくては……)


 俺は夢の中の行動を思い出して、求人誌を買いに本屋に向かう事にした。

 本屋で求人誌を買って、何だか自炊したい気分だったので、スーパーで食材を買う。難しい物は作ろうとは思わなかったので、雑に野菜を切っても食べられる鍋料理にする。


 家に戻り、食材を冷蔵庫に仕舞ってから求人誌を開く。

 今までは雑に見ていたが、美空がやっていたように、索引を調べてから求人を見ると……


「あれ?」

「この、プラント維持管理業務って!」


 夢の中に出て来た、求人情報とそっくりで有る。内容も良く似ている。唯一違うのが、夢の中では五崎重工だったが、現実(?)では鉄管てっかんエンジニアリングと言う企業名が違う位で、ほぼ内容は同じだった!


「これは正夢か!?」

「もし、美空と練習した面接と、夢で受けた面接内容が仮に同じなら、採用される可能性は高い……」


「採用人数は相変わらず若干名だが、やってみる価値は有るか……」


 今までの俺だったら、絶対に応募はしていないが、美空とのやり取りを思い出して応募する。

 あの時、俺が応募をしなければ美空に殺されていたはずだ!

 本当に死ぬのか、それとも目を覚ますのか、実際はどちらだったのだろうか……?


 ☆


 それから、月日が流れて……

 俺は本当に、プラント維持管理業務の仕事に採用されてしまった!?

 自分自身でも『嘘だろ』と思いたい!?


 面接内容は流石にうり二つでは無かったが、似たような質問も出て来て、美空の言葉を思い出しながら面接切り抜けた!

 就職は来月の1日からだが、夢の時にも出て来た様に、書類も多数書かなければ成らないし、健康診断も受けなければ成らない。


 美空の付けていたリボンは、お守り代わりに肌身離さず持っている。性格は悪そうな感じだったが、しっかりした良い子だった!

 置き人形の方は何も変化は無くて普通の人形だった……


 健康診断は隣町に在る、総合病院で受け付けて居るので早速予約を入れる。

 細かい準備等を色々考えていると、ふっと思い出す……


(そう言えば、赤羽山あかばねさんに神様(?)がまつられているのだよな?)

(あの世界がどんな世界にせよ、お礼だけは行かないと……)


 俺は早速、スマートフォンの地図アプリで赤羽山を調べて、赤羽山に出向く事にした。

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