ハニハニ誕生日 (家に蜂の巣ができた話)
住んでいるボロアパートの壁の隅にでっかい蜂の巣ができてからもう1ヶ月になる。
足が長い種類のようで背中に清涼な汗が流れる。極力息を潜めて暮らしているのだが、今日は誕生日なので道端に落ちていたロウソクを床に立て、火を灯した。ハッピーバースデー。小さなオレンジ色の火が揺らめく。
すると蜂が寄ってきた。慌てて身を隠す。しばらくして様子を伺うと、液状化して倒れた蝋の塊だけがそこにあった。
なんて日だ。
おもむろに蝋を掴み拳ごと火をつけて巣にパンチすると瞬く間に燃え移った。
蜂が出てくるわ出てくるわで心做しかにぎやかだ。
お前のことなんてしったこっちゃねー。
焦げた蜂蜜と繊維の匂いが風のない部屋に充満し、もう部屋の中はどんちゃん騒ぎなのだが、最終的に廃墟な巣はケーキ代わりになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます