出雲クライシス★ぱぁとⅡ

第3話

「それにしてもあの暗い中、よく煙感知器があるって分かったな」

【すさモン】が声をかける。

「直観だよ……倉庫だから火災報知器はある筈だ。あれだけ広いと熱感知より感知精度の高い煙感知の方が付いてる可能性は高い。それにやたらと物を燃やすより自分を燃やす方が危険性は低いしな。いつでも消せるし」

黒こげになった頭を搔きながら【いずモン】は言った。

「へえ～。やるもんだね」

感心したように頷く【すさモン】。

「いずモン！」

母親に抱きついていた少女が再び駆け寄ってきた。

「ありがとう……大好き！」

そう言って胸に飛び込む。

【いずモン】はあたふたしながら、それでもそっと少女の肩に手を置いた。

「ひみつ誰にも言わないから……バイバイ！」

そう言い残して手を振りながら去って行く。

笑い顔はできないが、それでも精一杯手を振り返すことはできる。

ブサイクでも、悪人顔でもいいさ……

胸の中に熱いものが込み上げてきた。

「やっと一人ファンができたな……」

隣で【すさモン】がぽつりと呟く。

「一人いりゃ十分さ」

そう答えると、【いずモン】は舞台の方へ歩を進めた。