第9話 復讐者リベンは仲間を強くする
カイステを撃破したリベンは早速彼の忘れ形見である酒場を爆破した。
ズッドーン!!
「ぎゃあああああああああああ!!」
「自分ごと吹き飛んだ!!」
その爆風はあまりの威力にリベンごと吹き飛んだ。
その隙にゴリラみたいな怪物たちはリベンを取り囲み、彼を丸焼きにしようとした。
「ぐおおおおおおおおおおっ!助けてくれ!!」
「何だよ、この怒涛の展開は!!」
そして、そのままゴリラみたいな怪物は勢いよくリベンを食べ尽くした。
そして、彼はりんごになった。
「りんごになった!!」
「リンゴを食ええええええええええええ!!」
おそらく、リンゴになったリベンはこの後何するのか困っているだろう。
とりあえず、通りすがりの人にリンゴを無理やり食わせた。
――い、今のうちに逃げよ…
ロークスはその場から逃げようとした。
しかし、何者かが後ろに立っていた。
「いでっ…」
「痛ぇな、小僧!てめぇどこ見て歩いてるんだよ?あ~ん?」
ふいに後ろを見ると、チャラそうな大男が彼の後ろにいた。
彼は腕に人が入った頭陀袋を抱えており、どうやらカイステの部下のようであった。
「お、お前は…」
「てんめぇ…この俺がカイステ様の一番弟子であるヤシモだって知っての行動か?あ~ん?」
彼の姿を見たロークスは思わずこう思ってしまった。
――殺される!こいつが!
その様子を見たヤシモは自分の姿に恐れをなしていると勘違いをしたのか、不敵に笑うとこう言った。
「ギャハハッ。ビビッてやんの、こいつ。普段ならボコっているところだけどよ、今なら金貨百枚で許してやるよ。俺は今さっきこのようにセレナーデ王国の“炎の王女”を捕まえることができたからよぉ!!だけどな…」
そう言って、彼は店の方を見た。
「誰かが俺たちの店を燃やしやがったんだよ…。カイステ様の夢だった酒場を誰かが爆破しやがった!!小僧、てめぇ知らねぇか!!」
そう言って、ヤシモは粗暴にそう尋ねてきた。
当然、ロークスはこう答えた。
「ああ、それならあそこにいるけど。ほら、あそこの変なおっさん」
ロークスはそう言うと、軽い感じにリベンを指さした。
爆破した
「よぉ、坊主。派手にやるじゃねぇ」
少年は犯人の言葉にびくっとなった。
「なぁに、怖がることはねぇ。警察にはバラしはしねぇよ」
リベンは少年にずいっと近寄った。
「その代わりこれから毎日家を焼こうぜ!手ェ貸すぜ」
「あ…あ…」
少年はその2mの筋肉質な不審者に当然恐怖を覚え、逃げた。
「いいか!?明日の夜またここで会おうぜ!!」
ちなみに少年は何もやっていない。
「た、助けて!!」
少年は近くにいたロークスに助けを求めた。
――それはそうなるだろうな…
彼は内心呆れつつも、後ろにいたヤシモの存在を忘れていた。
「てめぇか…カイステ様の屋敷を燃やした奴は…」
「ひっ!違う!僕じゃない!!」
「とぼけんなよ!クソガキ!!てめぇさっきの変態がやったって言ったぞ!!」
その言葉にロークスがずいっと少年をかばうように前へ出た。
「何だ、小僧…?」
「子供が違うって言っているだろ。オレは『犯人はあそこにいる2mの変態』って言ったはずだ。あんたは言葉を理解できているのか?」
その言葉にヤシモはブチ切れた。
「あぁん?てめぇ、小僧の分際でこの俺にたてつくとはいい度胸じゃねぇか!!面白ぇ、ぶち殺してやる!!」
ヤシモはそう言うと、鎌を構えたときだった。
「“怨念の業火”!!」
リベンは口から火を噴き、ヤシモをこんがり焼いた。
「上手に焼けました!!」
バキッ!!
何故か、リベンはヤシモを殴り飛ばした。
「ぐわっ!!な、なんだこのおっさん!!」
「誰がおっさんじゃあ!!」
ドバキィ!
ヤシモはリベンにわき腹を思いっきり蹴り入れられた。
「ぐおおおおおおおお!!」
そのあまりの威力にヤシモは吹き飛んだ。
「こ、小僧!てめぇ仲間がいやがったな!!」
「いや、違うけど」
彼は澄ました顔で答えると、ついにヤシモの怒りが頂点に達した。
「もしやカイステ様を…許さねぇ!!」
そう言うと、彼は鎌をロークスに投げ飛ばした。
「食らえ!デスシックル!!」
「うおっ、来た!!」
その鋭い刃はリベンの頭に刺さった。
「グボォ!!」
「えっー!?そっち!?」
ロークスが驚いていると、リベンは鎌を額からどくどく流しながら引き抜いてこう言った。
「ふん、所詮はゴミ屑の腰巾着だ。この程度の実力か」
「いや、思いっきり食らっていますよ」
「好都合だ、丁度いい。ロークス。お前に新たな技を教えてやる」
その言葉にロークスは怪訝な顔をした。
「もしや、あんたいい歳越えて習得したといか言う“復讐”とか力をオレに教えるの!?嫌だよ!!オレ、確かにムカつくやつとかいるけど、そんな明らかに“復讐”と無縁な馬鹿みたいな力なんて…」
「だれが馬鹿じゃあああああああ!!」
リベンはそう言うと、ロークスを思いっきりぶん殴った。
「ブベラァ!!」
「だから貴様は青二才なのだよ!!何もおれの力は“復讐”だけではないわ!!この刀の剣術もその一つじゃあ!!」
「えっ!?それ飾りじゃなかったかよ!?」
「ふっ、おれは“復讐”の力目覚める前は勇者パーティでは刀使いではそれなりに強かったぞ!!お前に手本を見せてやる!」
そう言うと、リベンは刀を抜いた。
刀身の先には肉の脂がついていた。
ロークスはそれを見てこう思った。
――料理するのかよ…
「行くぞ!!三下!!」
「て、てめぇ!!よくも、カイステ様を!!」
「三下の貴様に復讐の力を使うまでもない!!食らえ!!“一閃”!!」
そう言って、リベンは口から巨大な鉄の棒が飛び出し、それがヤシモの腹を突いた。
「思いっきり刀関係ねぇ!!」
「ぐぬぅ!!な、なんだこの鉄の棒は!?」
ヤシモが驚いていると、中から筋肉ムキムキの男たちが丸太を持って出てきた。
「何ぃ!?」
「この愚者め!!」
ムキムキの男たちは丸太でヤシモを集中攻撃を始めた。
「グガガガガッ!!」
「おいおい!あんた剣術教えてくれるんじゃねぇかよ!?」
ロークスが突っ込みを入れると、リベンは不敵に笑ってこう答えた。
「よく見てみろ」
「はぁ?」
ロークスが目を凝らして見ると、男たちに紛れて、一人だけ剣の達人がいた。
「ぬおおおおおおおおおおおおおっー!」
「リベンの奴め!!このわしに小僧への技を伝授しろと!!無茶を言いよる!」
剣の達人はそうボソッと呟くと、それがリベンに聞こえたのだろう。
「誰だてめぇええええええええええ!!“恐襲”!!」
リベンはそう言うと、剣の達人を後ろから斬りつけた。
「グバァ!!」
「ふっー、油断も隙もねぇ」
殴られた剣の達人はそのまま鉄の棒からずるりと落ち、下にいたゴリラみたいな怪物の大群に食われた。
「うぎゃあああああああああああああ!!人食った!!」
それを見たリベンはすかさずゴリラみたいな怪物を斬った。
「グロい!!“恐襲”!」
ゴリラみたいな怪物はリベンに背後から斬られると、横になってコテンと倒れた。
「しょぼっ!!」
だが、同時にロークスはあることにも気づけた。
――そういえば、あのおっさんさっきから全ての相手を後ろから攻撃している!ふざけたことをしながら、注意を引きつつ!!卑怯だ!!だけど…!
それに気づいたロークスはヤシモがムキムキの男たちに気を取られている間に彼の背後に回った。
「くそっ!!てめぇらふざけやがって!!」
「許せ…たかし…これも覇道のため…」
男たちは涙を流しながら、丸太を構えた。
「誰だ!!たかしって!!死ね!!アイスストーム!!」
ヤシモの魔法で一瞬にして、男たちは氷漬けなった。
「あんな外見なのに弱ぇ!!…まぁいい。次はてめぇだ!!」
ヤシモの言葉にリベンはにやりと笑った。
「ふん、貴様はパーティの役割分担って知っているか?」
「あん?てめぇ何言ってんだ?」
「おれは貴様からヘイト稼ぎ、貴様の攻撃をおれに集中させた。そう、盾役たるこのおれにな。そして、その餌に釣られている間に攻撃役が貴様に襲い掛かるのだ!!」
「な!?」
その言葉にヤシモが気づいたときは遅かった。
彼の背後には剣を構えたロークスがいたのだ。
「貴様…!!」
「バッグソード!!」
ロークスはヤシモを背後から不意打ちをした。
「ぐわぁあああ!!」
ヤシモはその攻撃を受けると、一撃で地面に伏した。
「ち、畜生…せっかく王女捕えたと言うのによぉ…ぐふっ!」
そう言うと、ヤシモは倒れた。
「全然違ぇ技じゃねぇかよ!!」
リベンは倒れているヤシモを蹴り飛ばした。
追い打ちだ。
「ちょっと待て!!王女だって?」
ロークスはその言葉を聞くと、ヤシモが持っていた頭陀袋を袋を開けようとした。
「お約束ぅ!!」
しかし、それをリベンが殴って止めに入った。
「ぬおおおおおおおおおおおお!!急になにすんじゃああああああああ!!」
「これを開けたら、ボーイミーツガールが始まるのよ!!新しいリア充が爆誕するのよ!!そんなの嫌よ!!ヒロインはこのアタシよ!!」
「何をわけわからんこと言ってんじゃあ!!三十八歳!!」
ロークスはリベンを思いっきり殴り飛ばすと、彼は物凄いムキムキの男にぶつかった。
「ぶべらぁ!!」
その衝撃で男はどこかへ消し飛んだ。
弱すぎたからだろう。
「消えた?まぁいい!!」
そう言って、ロークスは頭陀袋を開けた。
その中には一人の美しい少女が気を失っていた。
「ほら、やっぱり!!Wヒロイン何てアタシ認めないわよ!!」
だが、ただの少女ではないことが確かだろう。
この少女は巷で噂されている“王女”だろうからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます