第8話 復讐者リベンは二度目の復讐を敢行する

「ぐっ…ここは…」


 そこは普段通りの自室であった。


 だが、すぐに異変起きた。


「おらぁ、開けろ!!」


 玄関の扉を開けて、リベン率いる強盗の大群が現れたのだ。


「貴様を詐欺罪で逮捕する!!」


「それ警備兵じゃねぇのかよ!!お前らは逮捕される側だろうが!!」


 ロークスの突っ込みを無視し、カイステに手錠をつけた。


「な、何をすんだお前ら!!」


「知らん!!おれの気分により、貴様を裁判抜きの極刑にしてやるわ!!」


 リベンはそう言うと、カイステを引きずって、復讐の力で築かれた拷問部屋に連れ込んだ。


「いいか、貴様には真の健康体になってもらうぜ!!行くぜ!!」


 こうして、鬼コーチリベンはランニングマシンの上にカイステを投げ捨てた。


「ぐっ…三流のてめぇ如きが!!」


「ほぅ?」


 彼はそう言うと、ランニングマシンのスイッチを押した。


 すると、マシンは物凄いスピードで動き出した。


「ぬおおおおおおおおおおおお!って、これベルトコンベアじゃねぇかよ!!」


 カイステが驚いていると、何者かに掴まれた。


 巨人だ。


「なっ…!!巨人だとっ…!!グギャァ!!」


 そのまま、巨人に大量の“おばあちゃん”をぶちまけられた。


 そしてそのまま掴まれると、大量の鮭たちが入っている燻製器に投げ込まれた。


「来たか!!新人!!貴様も立派なスモークサーモンになりにきたか!!」


「な、なんだ貴様らは?」


 先輩鮭たちに絡まれたカイステは急な変化に困惑した。


「食らいやがれ!!旨味成分たっぷりになるがいい!!」


 リベンはそう言うと、燻製器に火を点けた。


 そして、燻製器の中は地獄と化した。


「「「「「ぐあああああああああああああ!!ああああああああああああ熱い!!うぎゃあああああああああああああ!!助げて!!熱い!!死にたくない!!」」」」」


 中の鮭たちはそのあまりの熱さに暴れ出した。


 その暴れっぷりは同じく中にいるカイステに体当たりをし始めた。


「ぐわあああああああああ!!離れろ!!」


 そして、外にいるリベンは自分で火を点けておきながら、そのあまりの惨劇に涙を流してこう叫んだ。


「サニーーーーーーーーーーーー!!」


「どう見てもサーモンだろ!!」


 ロークスがリベンの発言に突っ込み入れている間に、旨味成分たっぷりの100%ビーフシチューが燻製器の中から出てきた。


「スモークサーモンじゃねぇのかよ!?」


 ついでにカイステも出てきた。


「ぐっ…貴様如きの三流に!!」


「さて、そろそろ仕上げだ…行くぞ!九流野郎!!我が刀に集え!!病魔共よ」


 彼はそう言うと、刀に病魔を集めた。


~◇どっか◆~


「はぁはぁ、もうおれは駄目だ…」


「死なないで!!チャールズ!!」


 どこかで流行り病に犯されたチャールズは静かに病棟で最後の時を過ごそうとしていた時だった。


 急に彼の体から病が飛び出たのだ。


 病魔が体から飛び出たことにより、チャールズの病は治った。


「あれっ?急に体が楽になったぞ?」


「・・・!!奇跡よ!!神様がきっと奇跡をくれたのよ!!」


 チャールズの恋人はそう言うと、彼が病から解放されたことを喜んだ。


◆◇


 しかし、実際は一人の復讐者によって、病魔が集められていただけだ。


 彼は刀にありとあらゆるウィルスを集めると、ギラリと不浄の刀をカイステに向けた。


「止めだ。確か、一流の貴様は脳や体は健康そのものだから、ありとあらゆる病気にかからないとな!!」


「ば…馬鹿!!やめろ!!そんな汚い集合体を俺に向けるな!!」


 カイステは肉眼で目視できるほどに膨れ上がったウィルスがまとわりついた刀に焦った。


 あんなものを受けたら、どんな健康体と言えども、たちまちウィルスに全身の細胞を破壊されるだろう。


「行くぞ!!」


「ま、待て!!話し合おう!!そうだ、あの時お前を追いだしたことを謝るよ!!ほら、この通りだ!!何なら、アレックスも連れてきてやる!!」


 カイステはそう言うと、リベンに土下座をした。


 それを見たリベンは攻撃を取りやめた。


「そうか、そう言うことなら…」


 そう言うと、彼は刀を収めて、くるりと後ろを向いた。


 この瞬間をカイステは見逃さなかった。


(馬鹿め!!やはり、俺は一流だ!!だから、貴様は三流なんだよ!!死ね!!あの世で俺に詫び続けろ!!)


 カイステはそう言うと、懐から短刀を取り出した。


 リベンを後ろから不意打ちするつもりだ。


 だが、


「ふんっ、下衆な貴様のことだ。後ろから不意打ちでもするつもりだろう。安心しろ、もうお前への復讐は終わっている」


「な、それは一体どういう…」


 そう、彼は既に放っていたのだ。


 芭唖火保二刀流奥義“復讐の絶刃”を。


 胴体をばっくりと斬られたカイステはその傷口から大量のウィルスが流れ込んできたのだ。


「や、やめろ!!頼む!!助けてくれ!!俺はお前をただ追い出しただけじゃねぇか!!なんで、どうして!!ここまであう必要があるんだ!!」


 カイステの最後の叫びにリベンはこう答えた。


「これがおれ流の“復讐”だからだ。来世は人の痛みがわかる人間になれ。最も来世があればな」


 その言葉と共にカイステは高熱を一瞬にして出し、呼吸困難、全身の懈怠感、肌が一瞬にして腐敗して、そのまま塵のなって消えた。


「後始末!!」


 リベンは吸引機を取り出すと、カイステの魂と病魔を吸い込んだ。


「罠カード発動!!封印の壺!!」


 そして、どこともなく壺を取り出すと、彼の魂と病魔を封印した。


「てめぇみたいなド三流野郎にはそこの壺が似合っているぜ」


 こうして、リベンは二人目の復讐を完遂した。

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