第4話 復讐者リベンは最初の復讐を決行する
「コザ…お前がクズで助かったぜ」
リベンは首をコキコキと鳴らしながら、コザにそう言った。
「あぁん!?ゴミのてめぇが調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
「お前がクズじゃなければ、おれは復讐者としててめぇらに“怨”の一文字を押し付けることができねぇからな…行くぞ、コザ」
彼は二本の刀を引き抜き、コザに飛び掛かった。
「ヒャハハハハハッ!てめぇなんざ俺が相手するまでもねぇ!おい下っ端ども!侵入者を潰せ!」
「「は、はい!死ねぇい!」」
その一言共にコザの手下たちがリベンたちに襲い掛かった。
「ほう、逃げるための時間稼ぎか?」
「どいてろ」
余裕をかましているリベンを押し退け、ロークスは剣を抜いた。
「でりゃ!」
そして、彼は剣から衝撃波を放つと一撃でコザの手下を倒した。
「剣スキルか…なかなかだな」
「ふっ、とりあえずお褒めの言葉感謝しますよ」
部下を一瞬で倒されたことにコザはわなわなと震えた。
「ば、馬鹿な…オイカワの報告では使えない新人と聞いたはずだが…」
「ふん、コザよ。お前は己の能力の弱さを内心自覚するあまりに優秀な者を見逃していたそうだな。そう、おれをこのパーティに追放するように…貴様自身が最大の無能者だったということだ」
「て、てめぇえええ!リベン如きが調子に乗りやがって…!」
激昂するコザを見て、リベンは不敵に笑うとこういった。
「だが、おかげで復讐の力を身につけることができた。お前には感謝している。礼に貴様がどれだけ使えない男か、身をもって知ってもらおう!」
「な!?」
リベンは刀を構えた。
そう、芭唖火保二刀流奥義を放つつもりだ。
「食らえ!芭唖火保二刀流奥義“怨恨斬”!」
彼は黒い斬撃でコザを斬りつけた。
「ぐわぁっ!」
「さぁ理解するがいい。お前の真の無能さを…」
コザが気づくと、そこは学校だった。
「な、ここは学校!?」
気づくと、子供たちに囲まれていた。
「先生~、これ解いて~」
「うるせぇぞ、クソガキ!」
コザが生徒を攻撃しようとしたときだった。
「教師による体罰と名目の児童虐待反対!!」
バギャアアアアアアン!
「グボォオオオオオオオオオ!」
コザは思いっきりリベンに殴られた。
そのままリベンは教卓に頭を思いっきり叩きつけた。
「さぁ、コザ先生!生徒の成長を手助けしてあげましょう!!できなければ、殺す!」
「ぐううううっ!何故、この俺がこんな目に…」
コザは血まみれになりつつも、生徒の問題を見た。
【三角形 ABC において,AB=5,BC=6,CA=7 のとき三角形 ABC の内心と外心の距離を求めよ】
「文系だからわかんねぇええええええええええ!!」
勝手に発狂したリベンは二本の刀でコザをズタズタに切り裂いた。
「グオオオオオオオオオッ!お前もわからねぇじゃねぇのか!!」
「まだまだ行くぞ!!」
次に出てきたのは、ロークスだ。
「先生。この問題わからないんですけど」
「あぁん?てめぇまで何やってやがる!」
そんな先生としての職分を全うしないコザにリベンはおしおきを敢行した。
「ちゃんと見てやれえええええええええええええ!!」
リベンは彼の頭を掴み、黒板に顔面をぶつけた。
「ぐぼおおおおおおおおおおお!」
黒板に叩きつけた理由は教卓は木でできているため、血は目立ってしまうが、黒板ならば色弱には血染みが見えずらい配慮である。違うけど。
「オラオラオラオラ!」
「ひぶっ、やめ…」
「職務全うしろぉおおおおおお!」
彼はコザをたっぷりと痛めつけた後、ロークスの問題を(無理やり)見させた。
【「どうして?」その心配そうな声に僕は思わずドキッとなった。料理をしている最中だったが、火を止めて、彼女の方を見てしまった。昼間であると言うのに、まるで夜のように部屋が暗いように感じられた。問1.どうして僕は思わず料理をとめてしまったのか。この描写として適切な答えを書け。問2.昼間であると言うのに、まるで夜のように部屋が暗いように感じられた。この描写から僕はどんな気持ちであるか、答えよ】
それを見たリベンはこう答えた。
「自分で考えろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
リベンは二本の刀で二人を切り刻んだ。
「ぎゃあああああああああああ!」
「ぐおおおおおおおおおおっ!何でオレまで!?」
そのままコザを掴むと、彼の頭を使って、学校中の窓を割り始めた。
「うおおおおおおおおおお!校内暴力反対!校内暴力反対!校内暴力反対ぃいいいいいいいいいいいい!!」
一しきり割り終わると、窓からコザを投げ捨てた。
投げ捨てた先はとある農家の家だ。
「グッハ…ふざけやがって、ぶち殺してやる…!」
彼は立ち上がろうとすると、美味しそうな匂いが漂ってきた。
「おう、どうした」
見れば、ロークスが料理を提供してくれていた。
「・・・・(こいつ…気が触れたのか?)」
引きつった笑顔で立ち去ろうとするコザをロークスは掴んだ。
そして、そのままバッグドロップをかました。
「ちゃんと栄養取れぇえええええええええええ!」
「ぐぼぉ!!」
「まったく、この後裏庭に生息している女神から能力を貰うんだろ?早く食えよ」
そう言って、彼はバッグドロップの時に破壊した皿を彼の口に押し込んだ。
「ぐあああああああああああああ!」
「おっしゃあー!腹ごしらえもできたし、行くぞ!」
ロークスはそう言うと、彼の足を引きずって裏庭へ向かった。
裏庭につくと、すぐに女神が姿を現し…女神じゃなくてリベンが現れた。
「よく来たザマス♡」
「えーっ!?女神じゃなくて、お前ええええええぇ?」
ロークスは突然出てきたリベンに突っ込みを入れた。
「つーか、また女装かよ!どこに需要があるんだよ!ムキムキのおっさんの女装何て!!」
(こいつ、いつ間にこういう場所に来たことには何も言わないのかよ…)
湖の妖精リベンはにっこりと微笑むと、こう言った。
「さぁ、貴方には古き製薬に基づき、あなたにチート能力を授けるわよ♡」
「笑顔きもいな」
辛辣な言葉を投げつけるロークスを無視し、リベンは続けた。
「肋骨が複雑骨折するお薬かしら、それとも頭蓋骨が複雑骨折するお薬でしょうか、そ・れ・と・も♡」
「ちょっと待て!誓約じゃなくて、製薬かよ!!しかも、嫌なものばっかじゃねぇか!オチ見えてんぞ!」
ロークスの突っ込みを無視して、彼は口から破壊光線を発射した。
「究極女神ビームがお望みかしらああああああああああ!!」
「予想外だぁあああああああああああああああああ!!」
二人に破壊光線浴びせた後、コザの頭を掴み、近くにあったベニテングダケとドクツルタケを彼の口に押し込んだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!薬物耐性!薬物耐性を付けろおおおおおおおおおおおおお!」
「グガガガガッ!」
それを食したコザは当然その場で吐血して倒れた。
「お前みたいな無能者にはチート能力をやらねぇええええええええええええ!」
ボギャアアアア!
リベンは薬物耐性を得られなかったコザを思いっきりぶっ飛ばした。
「ぐふっ…なんで…俺がここまでやられなきゃいけないんだ…はっ!!」
気が付くと、そこはコザが居た部屋であった。
目の前にはゆっくりとくつろぐリベンとロークスの姿があった。
「気が付いたか」
「て、てめぇ、これは一体…」
「芭唖火保二刀流奥義“怨恨斬”は相手に夢を見せる技。その夢はおれの憎しみに支配され、悪夢と化した。貴様は己が作り出した悪夢であると、理解できなかった…だから、その悪夢のダメージがそのまま自分に跳ね返ったのだ。貴様はそこからで一人で芋虫みたいにのたうちで回っていただけだ。おれは最初の一撃以外なにもしていない」
「て…てめぇ…」
「だが、おれも理解した。お前も怖かったんだろ。自分の立場がなくなることに」
その一言にコザは絶句した。
「大した能力もなく、ただ自分の無能さをうすうす理解しつつも、居場所を奪われることを恐怖したお前は…」
「黙れ!!お前に俺の何がわかる!!」
コザはようやく反撃のチャンスを得た。
彼は愛用の棍棒を持つと、怒りの力を武器に宿らせた。
バーバリアンとは、ただ荒れ狂うだけに特化した怒りの戦士なのだ。
「流石は勇者パーティ『ブレイブリー・イグニート』だってことだけはあるな。迷宮でのお前の戦いぶりは荒れ狂う嵐そのものだった。だが、おれの恨みはお前の怒りの非ではない!行くぞ、お前に他人を思いやる心を思い知らせてやる!!」
そう言って、彼は二本の刀を引きぬいた。
ガキィィン!キン!
リベンは何合かコザと武器を打ち合った。
「うおおおおおおおおおおお!」
だが、先にダメージを負っていたコザはリベンの動きに付いていくのが精一杯だった。
ボキィイイイ!と鈍い音を立て、コザの棍棒は折れた。
「は!」
「止めだ!芭唖火保二刀流奥義“復讐の絶刃”!」
「待っ…」
リベンはオイカワを倒したのと、同じ技でコザを倒した。
「己の自身の無能さと向き合え…」
その言葉共にオイカワは倒れた。
ついでにその周りをゴリラみたいな怪物が囲んだ。
――す、すげぇ…あの勇者パーティの一人を…いとも簡単に…
ロークスはリベンのあまりの強さに驚いた。
こうして、リベンの最初の復讐が完遂したのだ。
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