12
顔合わせの日まで、妊娠前と変わらぬ生活をした。
「本当に赤ちゃんがいるのかな?」
なんて思ったりもした。
それでも体は正直だ。
唐突に吐き気に襲われる。
いつもより眠い気もする。
体験したことの無い体調に向き合っていると、顔合わせの日になってしまった。
「なんて言われるかな… 今になって反対されたりしないよね…?」
「陽花のご両親も、俺の親も不安そうにはしてたからね… でも、みんな孫ができるって喜んでくれてたし、きっと大丈夫だよ!」
この間の電話で説明をしてくれたらしい。
「やっぱり不安はあるよね。」
「そうだよな。俺たちも… いや!安心してもらえるように頑張ろう!」
祐也のポジティブにいつも救われる。
席につき、飲み物だけ頼み話を始める。
「先日もお話しさせて頂きましたが、陽花さんのお腹に僕たちの子供がいます。」
私含め全員が相槌をするのを忘れるぐらい真剣に聞いていた。
「元々プロポーズをさせて頂こうとしていたところ、妊娠がわかりました。順番を間違えてしまった事はすみません。ですが、勇気を出せなかった僕の背中を押してくれたと思っています。」
初めて聞いた。「親の前で言わなくてもいいじゃん!」と言い出しそうなぐらい、頬が赤い気がする。
「まだまだ未熟ですが、陽花さんとお腹にいる子供を幸せにします! えっと…」
目を真っ赤にし、必死に話す祐也をみて父が笑いだした。
「祐也くん。大丈夫。 今日集まったのは応援したいと思ってるからだよ。 そうですよね?」
そう祐也のお母さんに語りかけた。
「御挨拶遅れてすみません。祐也の母の美智子と申します。 お父様の仰る通り、私も応援したいと思っています。不束な息子ですが、よろしくお願いいたします。」
幸せなはずなのに、重い空気に押し潰されそうだ。
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