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「陽花ー!おはよう! そろそろ準備しよー!」

祐也の楽しそうな声で目を覚ます。

色々考えているうちに寝ていたようだ。

「おはよう。 もうちょっと横になっててもいいかな。 何だか気持ち悪くて…」

「大丈夫??まだ時間あるし、ゆっくりしてて!朝ごはんは食べる??」

「食欲無い… これが悪阻なのかな?」

「そっか!食べたくなったら教えて!それと俺が出来る準備やっておくね!」

「ありがとう。ごめんね…」


横になったままスマホをみる。

「妊娠 親に報告」

色んな人の報告の仕方が載っていた。

「胎嚢が確認できたら、心拍が分かったら、母子手帳を貰ったら」様々な方法があり、どう報告するか悩んだ。

自分の親は喜んでくれるのだろうか。

祐也の親は? 何度も会ったことはある。けど、当然結婚の報告もまだだ。

「反対されたらどうしよう…」不安が増えるばかりだ。


病院の時間が近づく。

二人は希望と不安を胸に病院へ歩き出す。


驚いた。マタニティマークやお腹の大きな妊婦さん、小さな子供を連れた人が沢山いる。

今まで気にしていなかっただけで、世の中には子を思い幸せそうに歩く人間が沢山いた。


「みんな幸せそうなのに、”私だけ”前向きじゃない。”私だけ”素直に喜べない。」 そう自分を責めるばかりだった。

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