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いつもよりゆっくり歩く祐也。

「あー 運転しすぎて足パンパンだよ! でも楽しかったなー。次はどんな旅行行きたい?!」

「運転ありがとう、楽しかった!どこかな…前言っ」

「次はさ!スターランドにしよ!!」

「え?!祐也ってスターランドのキャラクター好きだったの?」

「スターランドって子供に人気でしょ? 来年は早いよな… 1歳の誕生日!スターランドで誕生日祝いをしてあげよう!!」

「1歳…え?!産んでいいの?!」そう言おうとした時、祐也は立ち止まった。


「さっきは黙っちゃってごめん。俺は… 俺は陽花と家族になりたい。もし、妊娠してなくても俺と家族になってくれませんか?」

「え… いいの? 責任取るためとかそう言うのならもっと考えてから…」

「ちがう!! そんなんじゃない!! 確かに、妊娠したかもって言われてびっくりした。 でも嫌だったわけじゃない! むしろ…」

祐也はキャップで顔を隠し夜空を見上げた。

「嬉しくてさ!! でも先にプロポーズしておけば良かったなって… 陽花の不安そうな顔を見て、なんて声かければいいかわからなくて。 もし嫌だとしたら、喜ぶ事で負担になると思ったから。」


そうか。祐也は嫌だったわけじゃないんだ。

同じ気持ちで居てくれたことに安心し、祐也と同じ星を見つめた。

「良かったー。授かり婚ってよく叩かれてるじゃん。祐也も否定的だったらどうしようかと思ったよ。」

「否定的?! そんなわけないじゃん。何がきっかけでも良くない? 同居するから、転勤するから、記念日だから。そこに覚悟があるなら順番関係ないでしょ。それにさ…」

キャップを地面に起き陽花を抱きしめた。

「本当は旅行中に言おうと思ってたんだけど。これ受け取ってくれないかな?」

そう強く抱き締めていた手のひらには指輪が。


一気に不安が安心に代わり、気がつくと涙が溢れていた。

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