番外編3 エイリー






 エイリー・ベネチフは思い出していた。国王主催のパーティーで会ったロベリアのことを。あのあとロベリアがどうなったのかをエイリーは知らなかった。何故なら、急用で一度城から出たためだ。戻って来た時にはすでにロベリアはいなかった。

 それからは、ロべニアに会うこともなく帰宅した。

 暫くして、エイリーは国王が後退したことを新聞で知った。そして、同じように結婚したことも知る。それを見て、目の前のイスに座りコーヒーを飲む獣人族の男性へと目を向けた。

 見られていると気がついたのか、男性はエイリーへと視線を向けた。黙ったまま見つめ合うと、エイリーが口を開いた。

「ねえ、そろそろ結婚しない?」

 ゆっくりとした動作で男性はカップをテーブルに置いた。その間、お互い視線を逸らすことはしない。そしてここには2人以外にもいるということも忘れてはいない。

 2人は婚約した。そして現在、ベネチフ公爵家に住んでいる。そのため、何処にいても2人きりになれることはないのだ。

 今も、2人の側にはメイドが控えている。それをわかっていてエイリーは言っているのだ。

 それに、婚約してからすでに数年がたっている。そろそろ結婚してもいいだろうとエイリーは思っていたのだ。

「そうだな。俺も、結婚したいと思うよ」

 男性も同じだったようだ。しかし、お互いが結婚したいと言ってもエイリーの両親と男性の両親の許可を貰わなくてはいけない。

 だが、男性の両親はいつ結婚しても構わないと言っているので、エイリーの両親の許可さえもらえればいいのだ。

 それに、エイリーは1人娘だ。男性が婿養子に来るならば、エイリーの両親も許可をくれるだろう。現在そのために男性はエイリーの父親から仕事を教えてもらっている。

 男性も男性の両親も婿養子になることは構わないと考えている。結婚の許可さえもらえればいいのだ。

「結婚式にはロベリアちゃんを呼びたいの」

「エイリーがよく話してる、正義のヒーロー『悪役令嬢』の子か」

「そうそう。私にとって、ロベリアちゃんは正義のヒーローだよ」

 結婚式にはロベリアの家族も呼ぼうと話しながら、2人を部屋の外から見ている人物がいた。それは、エイリーの両親だ。

 両親も結婚の話はいつ来るだろうかと待っていたのだ。自分達からは結婚の話題を出す気はなかったため、待っているのだ。

 だから、そろそろ結婚式会場を探さないといけないとエイリーと男性の会話を聞きながら両親は思っていた。

 そして、両親は僅かに笑うと扉をノックして部屋へと入って行った。










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