第二章

第01話 外出






 現在私は不機嫌だ。何故なら、城でのパーティーからすでに5日たっているというのに父様が私を外に出してくれないのだ。出かけようとしたら、怒られる。その繰り返し。

 けれど今日は出かけることができる。父様が仕事で家を数時間開けるからだ。ほぼ毎日仕事ではあるけれど、家でできてしまうため外に出ることはあまりない。

 そのことから、私が出かけようとしてもすぐに気づかれるのだ。

 城で他種族の男性と話していたから、外には出さない。そう考えているのなら、今までだって外に出さないで家に縛りつければよかったのに。この街は人族なんかいないようなもの。父様の行動は今更だ。

 帰りの馬車でもずっと文句を言われていたけれど、無視をした。まともに聞いていたら腹が立って馬車を飛び降りてしまうだろうから。一緒にいたいとは思わない。

 父様が出かけたら、私も久しぶりに外出しようと考えながら本を読む。人族同士の恋愛もの。良くあるありきたりな物語で、最終的には認めてもらって無事結婚。何度も読んでいるので覚えてしまった。

 本当は本屋で数少ない人族と他種族の恋愛ものを探したい。けれど、なかなか見つからない。店員さんに聞いてもいいのだけれど、自力で見つけたいという思いがあるのだ。だから、今日出かけたときに本屋に行くのもいいかもしれない。

 本の内容が頭に入っていないけれど、ページを捲る。他の本を読んでもいいのだけれど、取りに行くには部屋を出なくてはいけない。私の部屋には本棚がない。だから、他の部屋に置いているのだ。

 もしも探している本が見つかったら、部屋に隠しておくしかない。見つかったら捨てられてしまうことがわかっているから。

 暫く何も考えずに本を読んでいると、扉をノックする音が聞こえた。返事をして本を閉じる。振り返ったと同時に扉が開かれ、侍女のワイナが入って来た。

 彼女には父様が出かけたら教えてほしいと伝えていたので、きっと父様が出かけたのだろうということがわかった。

「ロベリア様、ご主人様がお出かけになりましたよ」

「教えてくれて、ありがとう。それじゃあ、私も出かけようかな」

「16時にはお帰りになる予定ですので、それまでにお帰りになられますようお願いします」

 ワイナの言葉に頷くと、私は財布だけを手にして一緒に部屋を出た。途中母様に会い、「気をつけていってらっしゃい」と声をかけられた。その言葉に頷いて、玄関までたどり着くと静かに扉を開いた。

 久しぶりに外に出て、太陽の光が窓から差し込む光よりも眩しく感じられた。

「それじゃあ、いってくるね」

「お気をつけて」

 ワイナの言葉に頷き扉をしめて、歩き出した。取り敢えず今目指すのは本屋。そのあとは、どうするかはそのとき考えればいい。そう思いながら大通りを歩き始めた。










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