第7話 これが初恋なのか

 同じクラスの早瀬亨はやせとおるは、足が速くてサバサバしていて、ニカッと笑うと笑顔が可愛い、頭も悪くない。とてもしっかりしていて、優しい所も有る。でも、なかなかその優しさを表に出さないんだよな。


 恥ずかしがり屋な所もあるよな。なんて言ったらいいのか、いつも笑っていて欲しい。あいつが楽しそうに校庭を走っているのを眺めていると、俺が嬉しい。なんでかな。


 ああ、今日も外は寒いのに、頑張ってるな。温かい飲み物でもあげたい。なんなら食い物でも渡してみたい……。俺、最近おかしい気持ちが湧いて来るんだよな……。

 この間から迷路の中をぐるぐる回ってる感じ? 同じ事をずっと考えて、考えて、考えて……なんかにハマった、なんかって何だよ……!


 まさかとは思った。まさか、だよな……?



 俺は……早瀬が、好き……なのか……?


 こんな気持ちは初めてだ。

 まさか、これが……初恋……?



 まてまておい待て。早瀬は可愛いけど男だ。俺だって男だ。

 


 これはいわゆる、ホモと呼ばれる種類のではないか?


 俺は?

 俺……。

 

 早瀬がいつも笑っていられれば。


 俺も楽しいだけなんだよ。


 ぐるぐると回る考えが早瀬の顔が笑った可愛い顔が……消えない。



 落ち着いて考えてみよう。

 落ち着け?

 落ち着こう。


 待て。いや、慌てるな。


 他の子はどうなんだ?


 女子は?


 ……おい待て。

 ……やっぱり早瀬が一番だよな。


 俺は、ゆっくりと、今までのあれこれを……思い返してみた。


 思い出してみた。


 ……思い当たる事がひとつ……ふたつ……みっつ……? は? まだあるのかよ!


 やめよう。考えるのは。


 もしかしなくてもあいつが好きな事実は変わらない。


 今は、俺は早瀬が好きなんだ、という事が分かっただけだ。


 それだけだ。


 待ったなし。






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