第17話 私の悩み……

 徳○港からフェリーに乗った私達。島に着くには40分位掛かるみたい。

 船内から外の景色を眺めていると、私は急にデッキに出て見たいと感じた。


「ねえ、お姉ちゃん!」

「私、外の景色見て来るね!!」


 私の隣に座って、本を読んで居るお姉ちゃんに声を掛ける。

 お姉ちゃんは“こくん”と頷き、再び本に目を戻した。

 私はデッキに出ると……潮風が鼻をくすぐる。

 黒い雨雲の有った空には、少しずつだが青空が見えてきた……


「お天気になるかな……」


 ぼそっと、私は呟く。

 そして……何となく、お姉ちゃん事を考え始める……


(私は……お姉ちゃんの事を、あまり好きではない)

(家事は殆ど私にやらすし、私中心だし、料理も殆ど作れないし!!)


 考え始めると…、お姉ちゃんの嫌な所がいっぱい出てくる!!

 けど……お姉ちゃんが、私を気に掛けてくれて居るのは知っている。


 今回の旅行のお金だって、全部お姉ちゃんのアルバイト代から出ている。

 高速道路の料金や、旅館の宿代は決して安い金額で無い事位、私だって知っている。


(お姉ちゃんは、お姉ちゃんなりに、私の気を引こうとしているのかな?)


 私はそう思った……

 私だって、お姉ちゃんの事を好きになりたい。仲の良い姉妹に成りたい!!


 しかし、お互いの気持ちが繋がる事は少ない。

 小学生と大学生では、生活リズム・考え方全然違う。

 朝ご飯だって何気なく一緒に食べているけど、その後の時間は別々だ。

 私が、朝ご飯の後片付けをしているのに、お姉ちゃんがソファーで寛いで居る時は、“イラッ”ときた時が何回も有った。


(私が小学校に出かけた後、お姉ちゃんが洗濯物を干しているのだけど…)


 良い事よりも、悪い事の方が記憶に残りやすい。

 別に朝ご飯だって、生活リズムが違うから一緒に食べる必要性は無い。

 けど……お姉ちゃんは私との会話を意識して、時間を合わせているのだとしたら、すごく嬉しい!


「私がもうちょっと、お姉ちゃんを頼った方が良いのかな…?」


 デッキの柵に体を預けて、私はお姉ちゃんの事を色々考えた……


 ……


 島……


 島に着いた私達。


「今日は雲が有るから、そう暑くならないかもね!」


 お姉ちゃんは、私に話し掛けてくる。


「そうだね」

「それで、今からどこに行くの?」


 私はまだ。これから行く場所を聞いていない。

 ちなみにここの移動手段は徒歩で有り、バスとかは無い。


「恵那!」

「それわね……着いてからのお楽しみ!!」


 無邪気の笑顔で答えるお姉ちゃん。

 何か……ムカつく……


「……楽しみにしてる」


 お姉ちゃんとしばらく海岸沿いを歩いてから、今度は急に山道を歩き出した。それにしても急な坂だ……


「ねえ、お姉ちゃん…。結構きついね、この坂!」


「うん。そうだね、恵那」

「……でも、あと少しだよ。きっと…」


 脈絡の無い言葉を聞きながら、山道を登り切ると、立派な門が出てきた!?


(えっ!?)

(山の中から建物が出て来た!!)


「ふぅ~、やっと着いた!」


 お姉ちゃんは息をつきながら言う。


「お姉ちゃん。ここ?」


「そう、恵那。ここ」


 着いた場所には平屋建ての建物が有って、その右側には黒い塊が展示して有る。


「お姉ちゃん。何かの博物館?」


「そうだよ。博物館!」


 お姉ちゃんはそう言いながら、建物の方に“どんどん”歩き出す。


(何の博物館だろうか?)

(それにしても、あまり楽しそうな場所では無いなあ~~)


 私はそんな事を考えながら、私も建物に向かって歩いて行った……

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