第14話 旅行の行き先
旅行をする事が決まった私達。
お姉ちゃんが、旅行のリクエストを私に聞いてくる。
「所で恵那は、どこか行きたい場所は有る?」
「う~ん、いきなり言われても、ちょっと……思い付かないな」
「なら、お姉ちゃんが決めちゃっても良いかな?」
「その方が、宿の手配とかも出来てしまうし!」
「うん。じゃあ、お姉ちゃんに任せる!」
「決まったら教えるね。恵那」
「うん!」
私は、元気良くうなずく。
(思い切って、お姉ちゃんに言って良かった!)
(もし言わなかったら……夏休みの思い出は、家事を毎日していましたと、学校のクラスで発表していたのかな…?)
☆
三日後……
帰って来たお姉ちゃんは、台所に居る私に声を掛けて来る。
「恵那。旅行の行き先決まったよ!」
「えっ、どこ、どこ!!!」
私は、喜び顔でお姉ちゃんに近づきながら聞く。
「じゃ、じゃじゃぁぁん~。山口県への旅行に決まりました~」
「山口県!?」
私は、びっくりする。
「お姉ちゃん、それは、遠すぎない!」
私は、お姉ちゃんに言う。
だって、山口県って、私の家からすごく離れている……。日本の都道府県を知る授業が有って、聞いた事が有る県だけど、日本地図のページを何ページもめくる程離れていた。
「お姉ちゃん。何で行くの? 新幹線?」
「違うよ、お姉ちゃんの車だよ」
お姉ちゃんは、“けろっ”と答える。
「大丈夫……!?」
私は……不安の眼差しで、お姉ちゃんに言ってしまう。
車だとかなりの時間が掛かるはずだし、長時間運転するのは大変だからだ。
でも、お姉ちゃんは……
「恵那、大丈夫よ!」
「お姉ちゃんこれでも運転上手だから。任せなさい!」
胸に手を“とん”と当てながら喋るお姉ちゃん。
「なら良いけど……」
私は、車で長い距離を行くのは心配だけど、お姉ちゃんが大丈夫と言うなら、仕方ないかと感じた。
お姉ちゃんが車にした理由は、夜中に高速道路を走ると、区間に関係なく通行料金が安くなるらしい。
私の家から山口県まで走ると、かなりお得だと言っていた。(※)
☆
夏休みも終わり直前の有る日。
今晩から、私とお姉ちゃんは山口県へ旅行をする!
「それじゃ、行きましょうか」
「忘れ物は無いよね!」
お姉ちゃんは、私に向けて笑顔で言う。
「うん!」
「大丈夫! バッチリだよ!!」
私も、お姉ちゃんに向けて笑顔で答える。
夏休み。最初で最後の旅行の始まりです。私の家から、山口県へ……
どんな、思い出が出来るのかな? 嬉しさ、楽しさいっぱいです!!
……
…
・
私はふっと、目が覚める……
オレンジ色の眩しいナトリウム灯が前から後ろに、あっという間に流れていく……。ここはどうやらトンネルみたい。なんか幻想的に感じた。
トンネルを抜けると暗い景色が一面に広がる。
一瞬“ぶるっ”と寒気がしたけど、お腹付近が暖かいなと思ったら、そこには肌かけが掛けられていた。
お姉ちゃんは、私が起きたのに気付いた様で、声を掛けてきた。
「あっ、恵那。起こしちゃった?」
「ううん。普通に目が覚めただけ。今どこ?」
「えっとね……今度のインターが、姫○西だから、今は姫○市だね!」
(姫○市? 兵庫県かな? ……だいぶ私の家から離れたな…)
「後、どの位で着くの。お姉ちゃん?」
「う~と、徳○東インターで高速道路を降りるから、休憩と仮眠入れて、後6時間位かな?」
「まだ、そんなに掛かるんだ!」
私は車内の時計を見る。午前3時30分。まだ夜中だ。
「6時間掛かっても、朝の9時30分には着くんだ!」
「そうだね。それより、恵那はお腹すかない?」
まだ夜中だけど、嬉しくて興奮している所為か、お腹は何か食べたいと訴えていた。
「うん。少し…お腹すいた!」
「じゃあ、今度のSA(サービスエリア)で、ちょっと早いけど朝ご飯にしましょうか。
「お姉ちゃん」
「どうした…?」
「肌掛け、ありがとう…」
お姉ちゃんは、にっこりと笑った。
……
竜野SAで、凄く早い朝ご飯を食べて、お姉ちゃんは仮眠をとった後、私達の車は山口県に向かった。
私も、お姉ちゃんと一緒に寝て、私の目が覚めた時、車は山口県内に入っていた。
☆
「着いたね、お姉ちゃん!」
「う~ん、やっぱり山口県は、遠かった~~」
最初に行く場所は、市営動物園!
ここには、すごい人気者の熊がいるらしい……
「お姉ちゃん、早く行こうよ!!」
「もう、ちょっと待ってよ、恵那~~」
「早くしないと、置いて行くよ~~」
困った顔をしながらでも、微笑むお姉ちゃん。
旅行1日目の、始まりです!!
(※)高速道路、深夜割引の適用条件。その他割引情報は、各NEXCO(東・中・西日本高速道路)各割引情報をご覧ください。
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