第4話 恵那の日常 その4

 晩ご飯が終わって、晩ご飯の後片付けを2人でして、私はお風呂に入った後は宿題をするのだけど……


「ねえ……。お姉ちゃん…」


 お姉ちゃんはリビングでドラマを見ながら、ビールを飲んでいる。


「んっ…何、恵那?」


「あのね…、宿題を……」


「あぁ…、音羽ちゃんの家に行くのね。22時までには帰ってくるのよ!」


「うん!」

「じゃあ、行ってくるね!」


 お姉ちゃんの許しを貰ってから、私は音羽ちゃんの家に向かう。


 ……


『ピンポーン♪』


 音羽ちゃんの家のインターホーンを押して、しばらくすると音羽ちゃんのお母さんが玄関を開ける。


「あら。恵那ちゃん。こんばんわ」


「こんばんわ。おばさん!」

「音羽ちゃんと宿題しようと思いまして…」


「あら…、折角来てくれたのに音羽…今、お風呂入っているの」


 音羽ちゃんのお母さんはそう答える。


「そうなんですか……」


 私は事前連絡をするべきだった事に今更気付く。


「……まあ、もうすぐお風呂上がる事だし、音羽の部屋で待っていて貰えるかな?」


「良いんですか!?」


「ええ、もちろん!」


 音羽ちゃんのお母さんは、私を素直に受け入れてくれた。


「では、お邪魔しま~す」


 私は音羽ちゃんの部屋で、しばらく待っていると……

 部屋の扉の開くと同時に、音羽ちゃんが声を掛けて来る。


「恵那ちゃん。こんばんわ!」


「こんばんわ、音羽ちゃん!」


「あれ…?」

「今日……宿題、一緒にやる日だったけ?」


 音羽ちゃんは少し不思議な顔をしながら私に聞いてくる。


「ううん、違うよ…」

「ごめんね。連絡せずに来ちゃった…」

「もしかして、……何か予定入っていた?」


 私がそう言うと音羽ちゃんは、穏やかな表情で返してくれる。


「何も入ってないよ!」

「私もまだ宿題やっていないし、早速やろうか!」


「うん!」


 私はそう答えた。

 断わられなくて良かったと私は安心する。

音羽ちゃんの部屋に有る、少し大きめな座卓で2人向かい合って宿題を始める……


『カリ、カリ、カリ、―――』


「ねえ、音羽ちゃん?」


「んっ…何?」


「私の事どう思っている?」


 私がそう言うと……ぴたっと、音羽ちゃんの手が止まり、顔を見上げて私を見てくる。


「……行き成りどうしたの? 恵那ちゃん?」


「うん……最近、一緒に遊ぶ事も少なく成ったよね…」

「遊ぶと言っても、こうやって宿題するぐらい……。私の事、どう思っているのかなと…」


 私がその様に言うと、音羽ちゃんは即答する。


「恵那ちゃん!」

「遊ぶ数が少なく成っても、恵那ちゃんは私の大切な友達だよ!」


「いっぱい遊んだから友達に成って、遊ばなく成ったから他人……。私はそんな人付き合いはしないよ。恵那ちゃん!」


 音羽ちゃんは少し真剣な表所をしながら私に話す。


「じゃあ、私達は友達なんだね…」


「…変な事聞かないでよ」

「私と恵那ちゃんは友達! お互いを分かり合っている友達!!」


「ありがと…音羽ちゃん……」


 私は少し涙目に成りながら、音羽ちゃんにお礼を言う。


「お礼なんか要らないよ…。それより何でそんな事を聞くの?」

「クラスの誰かに変な事言われたの?」


「そんな訳じゃないけど私……、今の新しい生活に成ってから、友達が減っちゃたから、音羽ちゃんはどう思って居るのかなって…」

「友達少なくなって…、人寂しく感じたの……」


 私がそう言うと音羽ちゃんは1つの提案をしてくる。


「何となく分かるよ……だったらさ、明日、うちにご飯食べにおいでよ!」

「もちろん、恵那ちゃんのお姉さん一緒に!!」

「後で、お母さんに話して置くからさ♪」


「みんなで楽しくご飯を食べたら、人寂しさもきっと無くなるよ!」


「音羽ちゃん。……良いの?」


「大丈夫!」

「ちゃんと、お母さんにその様に伝えるから!」

「恵那ちゃんもお姉さんに伝えといてよ!」


「ありがとう……音羽ちゃん」


 ……


 音羽他ちゃんの言葉に救われた私は、少し元気を取り戻して、宿題の続きをした。

 宿題後は音羽ちゃんと少し談笑をして、門限の22時が近づいてきたので家に帰る。


 お向かいなので、1分も掛からずに家に帰った私は、さっきの事をお姉ちゃんに伝える。

 お姉ちゃんは『私も招待されたの? 何かの交流かな?』と少し不思議そうな顔をしていた。


 お姉ちゃんには『私が人寂しいから』とは言っていないから、話の流れを掴めないのは当然で有る。

 それでも、お姉ちゃんは納得してくれて、お休みの挨拶をして私は自分の部屋に戻る。


 私は今日の出来事を日記に書いていく……


『―――』

『音羽ちゃんは、私のことを友達と言ってくれました。』

『私も、音羽ちゃんは大切な友達です!』


 今日の日記を書き終わって、部屋の電気を暗くして私はベットに潜る。


「音羽ちゃん。明日も楽しく行こうね!」


 私はそう言って眠りに就いた……

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