04.08.JK再び

 この日そらはディズニーランドを訪れていた。

 同伴しているのはエロ・ラプンツェルにエロ・シンデレラ、それにロリ巨乳白雪姫だ。白雪姫はともかく、他の二人は物凄く恥ずかしそうにしている。


    入園拒否されないよね……


 そして、そんな二人よりも更に恥ずかしそうにマントで体を隠しているのがそらだ。

 ちなみにラプンツェルとシンデレラのパンツ対策は白雪姫によって施されていた。どちらもドレスと同系色の見せパンを用意しのだが、形は結構際どい。


 「ゲートが開いたぞ……」


 「そ、そうですね。行きましょうか」


 ドキドキしながら手荷物チェックを受け、チケットをかざす三人と、余裕の表情の白雪姫。無事に全員入園することは出来たのだが、既に周囲の注目を集めてしまっているようだ。


    エロ・ラプンツェルにエロ・シンデレラだから仕方ないか

    ロり巨乳にも需要がありそうだしね……


 そんな周囲の視線も気にする事もなく、白雪姫が園内でのルールを提案する。


 「王子の隣は交代で一人ずつ。持ち時間は20分」


 「腕は二本あるぜ?」


 「広がって歩くと邪魔。それに一人溢れるのは惨め」


 「確かに一人は嫌ですね。琴乃ことのさんのルールで行きましょう」


 「そういうことなら、あたいも文句ないぜ」


 あっさりとルールも決まり、先ずは白雪姫がそらと腕を組んでパーク内を歩く。


 しかし、ここには可愛い女の子がいっぱい居る。入場者の絶対数が多いから可愛い女の子も多いのかもしれないが、ついつい目で追ってしまうそら


 「気に入った娘がいたら申告して。琴乃ことのが交渉する」


    遠慮しときます……


 白雪姫は勧誘する気満々なのだが、交代したばかりのシンデレラはそらの腕をぎゅっと掴んで牽制する。


 それでも懲りることもなく、プラチナブロンドを揺らすJKの制服姿を追ってしまうそら


 「あ……」


 「アンタ、あん時の……」


 なんと、振り返ったその女の子は16歳の現役女子高生、Azusa ラインフェルトReinfeldtその人だった。


 「知り合いなんですか?」


 そらの腕を更に締め付けて問いかけるシンデレラ。


 「井川いかわさんの姪の……、ちょっと痛いんですけど……」


 「アンタの彼女?」


 「例の四番目?」


 二つの質問が同時に投げかけられる。不機嫌そうにそらを睨みつけているAzusaと、シンデレラとは反対の腕を優しく抱きしめる白雪姫からだ。


 「ああそうだ」


 「そうなんだ……」


 とAzusa


 「見た目は合格」


 と琴乃ことの


 「違うから、彼女ってのを肯定しただけだから」


 「ねえ、あずっちの知り合いなの? 紹介してよ。イケメンじゃん、変な格好してるけど」


 Azusaと同じ制服だ。髪は肩までの金髪だが、明らかにブリーチしている感じだ。特に可愛いというわけでもなく、可もなく不可もなくと言った感じの女の子だ。

 そしてもう一人、Azusaの後ろに隠れるようにして気弱そうな黒髪の女の子が立っている。三人とも同じように鼠の耳を模ったカチューシャを着けている。


 「ほら、前に言わなかったっけ? こいつ、私んちに押しかけてきて朝っぱらからを丸出しにしてた奴なのよ」


 「うわ……、キモっ」


 「なんか事実を捻じ曲げてないか? 僕が目を覚ましたら君が――」


 「うわぁぁぁぁ、兎に角アンタが最低の男ってことには変わりないんだから細かいことはいいじゃない」


 「良くない。旦那を変態呼ばわりされて黙っていられる嫁などいない」


 最低男と言われた事に琴乃ことのが反論する。


 「嫁って、結婚してたの? アンタ……」


 「嫁っていっても結婚してるわけじゃないんだって。あたいも嫁だし、こっちの水色のも嫁なんだぜ♪」


 「マジか……、三にとかヤバいってあずっち」


 「ねえ、Azusa、いこ? 関わらないほうがいいと思うの」


 Azusaだけでなく、友人二人もドン引きだ。


 「まあ待て、黒髪ちゃん。Azusaといったか、お前はそらが好きなのか?」


 「んなわけないでしょ、誰がこんな変態……」


 「どっちが変態……」


    えっ、顔赤くしてモジモジしないでくれるかな……


 「そうか、なら消えろ。目ざわり」


 「はぁ?」


 「そらの事が好きなら嫁にしてやってもいい。そうでないなら興味ない。行こう、そら


 「ああ」


 そらの腕をぐいぐい引っ張ってその場から立ち去ろうとする白雪姫。だが、その行く手に顔を真っ赤に染めたAzusaが立ちはだかった。


 「待ってよ!」


 「邪魔、どいて」


 「どかない!」


 「何故?」


 「認めるわよ、一目惚れよ……」


    あーあ、面倒くさいことになっちゃったよ。どうするんだよ、琴乃ことの


 「だそうだ。どうする? そら


    僕に振るのかよ……


 「そらも気になってるみたい。一時間だけ貸してやる。自分の気持ちを確かめろ」


 琴乃ことのの独断により、JKとデートすることになってしまったのだった。

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