04.06.初めてへの拘り
「ふ、二人きりなんて初めてだな、
「震えてるけど大丈夫?」
「あ、ああ。何か緊張するな、こういうの」
なんだ、この初々しさは……
「や、やっぱ柄じゃねえな、こういうのは……。あーーー、もう全部脱い――」
大声で騒ぎ始めた
「ん〜〜〜」
昇降口で見かけた時、心臓を撃ち抜かれた感覚を覚えた。サラサラの黒髪、平坦な顔立ち、切れ長の目に薄い唇。彼女の周りだけ空気が澄み切っているようにさえ思えた。
式の間もずっと
教室へと移動してからもそうだった。
当時の
「あの件がなければ僕は
「あの件? ああ、しーちゃんの事か。そうだな、しーちゃんさえいなきゃもっと早くこうなってたのにな。初めての相手は
流石に三、四人は多すぎるけど……
だったらそういう可能性だってあったかもしれない……
何かの切欠があれば人見知りの
「でもわりい、結局
だが、二人がこうして抱き合っているのは、別々の高校へと進学して
「そんなつもりで言ったわけじゃないから。ただ
「
あの頃の
清楚で可憐な
でも本当にそうだったんだろうか
「僕は当時の
「ごめんな、理想をぶっ壊しちまって。色々あったんだよ、高校で」
「僕は今の
「見た目はあの頃の雰囲気を取り戻してくれてるからそれだけで僕は満足かな。性格とのギャップも
「ああ、もう照れくさいんだよ。さっさと始めるぞ!」
「
あくまで
「いいんだよ、そんなの。ほら、
だが、
◆◆◆◆◆ ❤❤♂♀=3❤❤ ◆◆◆◆◆
「な? 始めちまえば関係なかっただろ」
「そうだけどさ……」
「そういうことだ。それより……、
「誤解だって言ったのにな……」
「違うのか? でもヤっちまったんだろ? 相手は納得してるのか、それで」
「何もしてないって。何かあったとしても彼女が勝手にした事だし」
「ヤられたのか……」
「違う……、と思う。けど、目が覚めた時には何もしてなかったから」
「そうか……。でも羨ましいよな。16で好きな男見つけて、しかもそれが
「知らないよ。そんなこと訊けるわけないだろ」
「それもそうだな」
「そもそも、気にしてないから、初めてかどうかなんて」
「本当かよ。
「あれは……、たまたま同業者だったってだけだし、スーパーに行くのだって
「まあ、スーパーに関してはあたいも接客する側だからな、仕方ないけど……、でも何か
「だったら、朝起きて最初にキスするのは?」
「あたい……だな」
「僕が起きる前に何かしてない?」
「それは……、ちょっとだけだ。あんなになってるんだから仕方ないだろ……」
「ほらね? その後も一緒にキッチににいるしさ、ほら、お尻に……。
「確かにそうだけど……」
「それに
「……そうか。そうだな。
「お互いね」
「そうだな。よしっ、もう1回しようぜ! 今度はこんなの使わねえ。あたいが
「いいねっ、それ。
「……いいのかよ、
「勿論! そういうことなら急がないと。二人が帰ってくる前に」
「え……、いいのかよ、ムードとかはよ……」
やはり
「待てって、
◆◆◆◆◆ ❤❤ε=♂♀❤❤ ◆◆◆◆◆
「良かったんだな、ほんとに……。妊娠しちまうかもしんねえぞ」
少しだけ申し訳無さそうに、いや、不安げに呟く
「ああ、
そんな不安を払拭しようと、
「当たり前だろ。あたいも
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