04.02.梓ラインフェルト
「
酒が回ったのかタクシーの中で二人肩を寄せ合って眠ってしまっていた。
「う〜ん、ここは何処だ?」
「
「あー、そうだったな。降りようか」
タクシーを降りて向かったのは、ごく普通のマンションだった。建物の大きさに対してポストが多い、おそらくはワンルームマンションなのだろう。
知り合いの家?
帰りたくないって言ってたし
『こんな時間に誰? って
「浮気された。帰りたくないから泊めて。ヒック」
『しょうがないなー。だいぶ酔ってるみたいだけど大丈夫なの?』
「大丈夫、大丈夫。ヒック」
大丈夫そうじゃないんだけど……
僕が肩貸さないと歩けない状態だし
エレベーターホールへと続くドアが開き、フラフラの
「あずさー」
「えっ、ちょっと」
身内というわけでは無いのだろうか、
「ちょっと、アンタ。手伝いないさいよね」
少女と協力し、
「はー。やっと開放された。じゃあ僕は失礼させ――」
「はぁ?」
ここに居ても用はない、そう考えた
「えぇ?」
「こんな酔っ払いを私に押し付けて帰ろうとしてるわけ? 意味わかんないんだけど」
「そうは言われてもね。流石に女の子の部屋にってのは……」
「ばっかじゃないの? そんなフラフラなのに私を襲えるとでも思ってるの?」
そういえば
正直、家に帰り着く自信もない……
タクシー使えば何とかなるかな……
「これでも飲んで大人しくしてなさいよね」
不機嫌そうなのだが、
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「もう少し我慢よ、
「
小鳥の鳴き声で目を覚ました
少女に手渡された水を飲み干し、そのまま眠ってしまっていたのだ。
夢……
よかった……
既婚とはいえ29歳の美人を枕にし、美少女の部屋で夢精したなどと考えただけでゾッとする。
暖かくて……
柔らかくて……
そう、
「お、起こしちゃったかな……」
足元の方から聞こえた声。
「な……、何してるの……」
「なんか苦しそうだったからさ。救けてあげたのよ、こ、この子を……。べ、別に何もしてないから。しようともしてないんだからねっ。 ……それより、
「仕事関係だけど、そういう君は?」
「
「そんなんじゃないよ。純粋に仕事関係だよ」
流石に騒がしかったのか、
「んーーー、頭痛ーーーーい……何してるんだ、お前たち……」
何とも言い難い苦悶の表情が驚愕のそれへと変わる。無理もない、二日酔いの視界に飛び込んできたのは自分の股間を枕代わりにし、姪にを足の間に座らせている
「何もしてないわよ。これからしようとしてただけ。
「貰うって、ダメだ、そんなことされたら兄さんに会わせる顔がない」
「普通に彼氏にするだけよ。セフレにするわけじゃあるまいし……、それに黙ってればいいだけじゃない」
「とにかく、駄目ったら駄目だ。
「僕も今起きたところですから。これは彼女が勝手に――」
「ひどいっ、その気になってたくせに」
「どんな気なんだか……」
「う、ううっ……、そんな……」
両手で顔を覆い、肩を揺らして泣き始める少女。
泣きたいのはこっちだよ
「なーんてね。あらためまして、私は
まあ、否定はしませんけど……
「どうも、
「よろしくね!」
「よろしく……」
「いいから早く仕舞え」
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