03.09.嫁とセフレ
とある田舎町のファミレス。
「見ろよあれ。修羅場ってやつか?」
「止めろよ、聞こえるって」
「すげえな、四人とか」
注目を集めてしまっている男女五人。
「これはどういうことなのかな、
漸く会えるって思ってたのに……
ファミレス? まあお腹も減るわよね……
でもさぁ……
食べ終わったらいっぱいエッチ出来るって思ってたのにー!
何で女の子が三人もいるのよっ
皆んな可愛いし、若いし……
どういうことなのよっ、
そんな心の叫びに
「
「嫁って……」
嘘でしょ?
嘘だって言ってよ
結婚しちゃったの?
「
「もって……」
そうよね、結婚したっていうなら他の二人が同席してる理由がわからないわ
この流れだと三人目も……
「久しぶり、
「
言われてみれば面影あるかも……
「ああ……、
そこまでしちゃうんだ、
「そ、そう……。三人とも
「嫁」
「お嫁さんです」
「嫁だって」
嫁の定義がわからないわ……
被せてくるって事は彼女以上だってアピールしたいんだろうけど……
まさか重婚って事は無いわよね!
「ちなみに入籍は……」
「無理。小学生でも知ってる」
「勿論したいですけど三人ではそういうわけにもいきませんから」
「入籍って紙切れ出すだけなんだろ? 必要ないって、そんなの」
よかった、取り敢えず入籍はまだのようね
でも……
「妊娠してるとか?」
「まだ。でも大学卒業したらすぐに産むつもり」
大学生なんだ
そうよね、大学は卒業した方がいいわね
「私も大学は卒業したいですので」
こっちも大学生
よし!
だったら……
「あたいはいつでもいいぜ! 短大も中退でいいしな」
えっ、中退……
そんなに
「そうなんだ……」
入籍はしてないけど、
遅かれ早かれ
「一緒に暮らしてたりするのかなぁ、
懇願するような目で隣の
「はい。
そうなんだ……
「ちなみに知り合ったのって夏休み開けなのよね。彼女いないって言ってたわよね、
「そうです――」
「
見つけたって……
大丈夫、6月も8月も大差ないわ
「私は入試で隣の席になってからずっと
入試ってことは半年ぐらい?
でもまだ半年よ、まだ
「あたいは中学の入学式で初めて見たときから気になってたぜ。初恋ってやつだ」
何それ、何年越しなのよっ!
しかも初恋の相手なの?
でも、その間ずっと
そもそも
「そ、
「
よし、私の方が先だっ!
っていうかそうよね、私と結婚したいって言ってたんだもん
あ〜、
「でも今はとても大切な存在です。勿論、
「そう……」
「ちなみにあたいとは両想いだったんだぜっ、中学んとき。 なっ、
「両想いっていうか片想い同士だったんだけどね」
「まあ、変な噂の所為で
胸を張り、得意げな表情の
「へ、へえぇーー、そうなんだ。私は……」
童貞は私が貰ったのよ
……なんて言えそうにないわね
「これで三人」
そんな
「
「あと二人。そしたら五人」
まさか私が
「五人集めて
「
「それまではセフレ」
確かにそう言ったけど……
本当に彼女つくれって意味じゃないのに……
それに、その気がなかったわけじゃないのよ
怖かっただけ
こんな風に
「だからエッチはしていい。コテージを予約してある」
「エッチって……、何考えてるのよ」
何で簡単にそんな事が言えるの?
「
当然って……
その為なら他の女と寝ることも許容するっていうの?
ありえないわ!
独り占めしたいじゃない!
「ほんとはやだけどな。でもあたいも後から入れてもらったみたいなもんだから
そうよね、そう思うのが普通よ
でも受け入れるちゃうのね、
「みたいじゃなくて実際そうなんですけどね。本心を言えば私も独り占めしたいですよ。でも
頑張ってるって……
「それに、ちゃんと二人きりになれる時間もつくってくれますし、みんなお嫁さんなので浮気されたって気がしないんです。皆んな仲良しですし。後はそうですね……。
テク……
「
そうかもしれないけどっ!
「とりあえず、セフレって呼び方はやめてもらえないかしら。周りの目もあるわけだし」
実際、なんだ一人はセフレなのか、という会話も聞こえてきている。そのような扱いを受けるのは心外だ。
「問題ない、場所を変える」
立ち上がり、
「後は
そう言い残し、店を出ていってしまった。
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