03.08.帰省
シルバーウィーク初日。
目覚めた
「あれ……、
「着替えて、出かける」
リビングから声がする。
「おっ、起きたか
「うううーん、今日は休みなのにぃ……」
「珍しいね、
「バスに乗り遅れる。急いで」
「バス? どこ行くの?」
「
「聞いてないんだけど……」
「今言った」
「それに、いきなり行っても……」
「連絡しておいた。勿論、
それって、僕のスマホ勝手に使ってるって事じゃん……
寝室を共にしている者のとって生体認証など有ってないようなもの。その可能性に気付けず対策を怠った
「無難に友人を三人連れていくとだけ伝えてあるから泊めてくれるはず」
全員彼女だよって言ったら気絶するかもね……
ちなみに
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
電車とバスとタクシーを乗り継いでやってきた
「
「始めまして、
安心できるな、
「お久しぶりです、中学で同じクラスでした
普段もこういう話し方してくれるといいんだけどな……
「えっと……、お友達って聞いてたんだけど……、一人ぐらい
「その事なんだけど――」
「
「ずるいです
「勿論あたいも」
「……」
母が唖然とするのも無理はない。友達を連れてくるとだけ聞いていたのに全員が女の子、しかも全員が嫁だと言い出したのだ。大学生にもなって彼女の一人もいない事を気にしていたというのにだ。
「母さん言ってたよね、彼女の一人や二人連れて来いって。だから連れてきたんだけどさ……」
だから三人連れてきたというのは無理がある。只々唖然とするだけの母。
そこにタイミング良く
「いいところに、
涙ながらに訴える母。
やっぱそうだよね……
三人ってのは……
「そうか」
「もう、それだけなの? 彼女よ? 三人もいるのよ? もっと喜んでもいいんじゃない?」
まさかの嬉し涙……
「
その一言に、こちらこそと答える嫁たち。
いいんだ、父さんも……
「は~、
「無理でしょ、狭いから」
「そう? じゃあお風呂の説明してあげて。詳しい事は夕食の時に聞かせてね」
「これなら平気そう」
何が平気かは置いておくとして、一旦荷物を運び入れ、続いて風呂へと向かう。この風呂というのも別棟になっていて、こちらも六畳ほどの広さがある。
高く積み上げられた石の天辺付近からは滝のように水が流れ出すギミックも。お湯ではなく水というのが曲者で、湯舟に流れ込んでしまうため、温度が下がってしまい、殆ど使われることのない代物だ。
当初は薪だけだった風呂釜は薪と灯油のハイブリッドに改修され、屋根に太陽光温水器が乗せられたことで元々あった蛇口の隣に混合栓が追加された。更に、冬にもシャワーが使いたいからと給湯器が追加され、温水器の隣にもう一つ混合栓が増えた。この他に滝の水量を調節するバルブがあったりと、蛇口回りが多少複雑になっている。
母が説明を、と言っていたのはこのことで、捻る蛇口を間違えると冷水を浴びてしまうことになりかねないのだ。
「こっちも平気そうだな。
「これだけ広ければ平気」
「声が聞こえちゃいますよ……」
「出さなければいい」
「そういうわけにも……」
「僕も流石にここでは無理かな……。声が聞こえなかったとしても勝手に想像されそうだし」
残念そうな
「で、どの娘が本命なの?」
戻ったら戻ったで母から質問攻めとなり、居場所のない
どの娘がって言われてもな……
選べないよ
全員じゃ……駄目なのかな……
結局夕食の場であれこれ訊かれ、三人の女の子と同棲していることは両親の知るところとなっていまうのだった。
「お兄ちゃん……、最低……」
もちろん妹の
「
祖母も心配そうである。
「大丈夫だから、婆ちゃん。お休み」
嫁たちに酌をされ、いつもより酒がすすんでしまったの父もそのまま居間で眠ってしまっている。
「ここはいいから
と送り出され、
「離れ、いこうか……」
視線から逃れようと
「そうね、その方がいいわね♪」
嬉しそうな母。
覗きに来たりしないよね……
多少不安ではあるが、場所を移してあとは四人で……、とはならず、離れに移動した途端、
「明日、セフレに会いに行く」
「「「……」」」
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