03.+初恋
03.01.嵐の夜の訪問者
三人での生活が始まり、引っ越しの荷物も片付いてきたある日の事。
超大型の台風の接近によって大学は午後から休講となっていた。当然、こうなることは予想していた為、昨日の内に食料や飲み物を買い込んであり、大学からの帰りに魚屋にも寄って来た
「台風の日ってなんかワクワクするよね!」
「べ、別に。
「私は好きじゃないです。外に出られませんし」
何故かテンションの高い
「でも、何か起こりそうじゃん?」
暗闇……
雷の音……
柔らかな肌……
勿論そんなシチュエーションを期待していないわけでもない。だが、二人と過ごす何気ない毎日、一緒に朝食を摂り、一緒に出かけて、一緒に買い物に行く。ここ数日のそうした生活の中に
この二人と一緒にいれば何が起きても平気だ
二人の為なら何だってできる気がする
「ふ、不謹慎」
確かに、被害を受ける人がいる事を考えると不謹慎極まりない事だが、
そして、今はこうして
一方で、
テンションの高い
「そういえば、
「高校の時に親父に教えられただけだよ」
「じゃあ、お父さん、魚屋さんなんですね」
「いや、公務員。動画見て覚えたらしいよ」
「そうなんですか……。私にも出来ますかね」
「そ、そろそろ準備する」
「任せたね、あら汁」
「書いてある通りにやればいいのですよね。任せて下さい!」
とはいえ、同じ部屋に恋人同士が居て普通ではやらないような盛り付けまでしているのだ、食事の最中だろうと気持ちが高まれば始めてしまっても当然だ。特に今日は
「
「
「
明かりの消えたリビングに響く嬌声、壁には稲妻が愛し合う三人の姿が映し出される。
◆◆◆◆◆ ❤♀♂♀❤ ◆◆◆◆◆
二つの欲求を同時に満たし、このままベッドで続きをと、三人が移動しようとしていた矢先の事だった。
ピンポーン
こんな夜遅く、しかも嵐の夜に何の用か、三人は一様にそう思ったに違いない。
このまま居ないことにしてしまってよいのでは、そんな思いで息を殺す。そこまでしなくても聞こえたりはしないと思うのだが、念のためだ。
ピンポーン
「帰りませんね」
インターホン越しに風の唸り声が聞こえ、窓ガラスには雨粒が激しく打ち付けられている。余程重要な用件でもなければ態々訪ねては来ないだろう。
「そうだね。見てこようか……」
ドン ドン ドン ドン
待ちきれないのか、ドアまで叩き始めた。
出た……
濡れた前髪で目が隠れ、赤外線カメラ故の白黒画像。
「
「……」
「女の人?
駆け寄った
「じゃあ
「誰にもここを教えてない。
「ストーカーって……、やっぱり
「えっ、僕が?」
ドン ドン ドン ドン ドン
「このままじゃ続きもできませんし……」
確かにこのままだと気になってそれどころじゃないんだけど……
呪われたりしないよね……
「頑張って。男の子でしょ!」
「仕方がない、
「えっ、その格好で?」
「来てやったぞ、
えっ、誰……
その女は間違いなく
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