02.13.待ち惚け
セフレなどと自分から言ってしまった手前、恋人のように毎日メッセージを送ったり電話で話したりということも出来ず、ただただ
でも今日こそは
昼過ぎに出ても夕方にはこっちに着くんだから、
来てくれるんだよね、
しかし、いつまで待っても
「はぁぁぁぁ」
出勤しても溜息ばかり。
「また溜息? ……わかった、
「聞いてよー、
「それを断ったのは
「それはそうなんだけどさ……、でも今日は土曜日なのよ? 会いに来れるのよ? なにが『全身全霊でエッチします』よ。全然する気ないじゃない!」
「だったら
「それは……」
「素直じゃないんだから、
「だって……、捨てられたらどうするのよ」
「それはその時考えればよかったのよ。どうせこうやってうだうだ言ってるだけなんだし? 他の男も探す気ないんでしょ? 捨てられなくてもあっという間に三十路よ」
「ううっ、そうだけどさ……」
「そもそも生理きてるんじゃなかったっけ? エッチする気なの?」
「4日目だから大丈夫よ」
「えーーー、引いちゃうんじゃないかなぁ、
「……そうね。無理しない方がいいわね」
結局、この日は諦めることにしたのだが、その後も
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「
更に一週間後、ロッカールームには廃人になりかけの
「はいはい。
「何もないの」
「諦めて
「したわよ」
一向に連絡してこない
「で?」
「忙しいから無理だって。何が『全身全霊で妊娠させます』よ、何が『そしたら結婚してくれますよね?』よ。
「そこまで言わせといてセフレにしちゃった
どうかしてるんじゃないかと思う
だが、
最低でも五人と恋をしろ、などと言ったのは本心ではない。それくらい自分の事を想って欲しい、それを
「まさか浮気?
「浮気って……、あなたたち只のセフレなんでしょ?」
「只のセフレじゃないわよ。そのまま続いたら結婚する約束だってしてるのよ。その前に絶対妊娠してみせるけど」
「何なのよ、それ、普通に付き合いなさいよ、面倒臭い……。まあいいわ、セフレはセフレよ。
「何それ、年増ってだけで私が不利じゃない」
「そうよね。しかも君とはセフレ、お付き合いは出来ませんなんて言っちゃってるのよ? 選ばれるわけないじゃない」
「
「別に私がそう仕向けたわけでもないし、そういう事もあるかもってだけだから。私言ったよね、『捕まえときなさい』って。なのに何でセフレになっちゃうのよ」
「言わないで。今更遅いんだから」
「遅くないわよ。
「……そうね。私、行ってくる。ううん、帰ってこないかも!」
「えっ、今から? 別にそういうつもりで言ったんじゃ――」
「所長に言っといて……」
そう言い残し、制服のまま帰ろうとした
「どうした?」
「私……、
「はぁ……」
溜息しか出ない
「ちなみに訊くけど、
「……知らない」
「血液型は?」
「…………知らない」
「趣味とか特技とか……、訊くだけ無駄みたいね。一晩中ひたすらエッチしてたんだ……」
「えへっ」
「褒めてないからね」
結局、この日も諦めることになってしまう
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
台風の接近に伴い、朝から小雨が振り続く数日後のある日。
「終わったわ……、私」
ロッカールームに現れたのは廃人だった。
シルバーウィークを目前に控え、昨夜から何度もメッセージを送っていた
“ごめんなさい、仕事が忙しくて行けそうにありません”
「はぁ……、
「まだわからないじゃない。ふられたわけじゃないんでしょ?」
「もう二週間なのよ? シルバーウィークも会わなかったら三週間超えるのよ? 抜かずに何度も何度もせがんできた
「それはそれは……」
「彼女が出来たのよ……、そうに違いないわ」
ブルルルル ブルルルル
「スマホ、鳴ってるよ?
「見たくない。どうせ別れ話よ」
「どれどれ……、“やっぱりそっちに帰ることにします。会うのが楽しみですね”、だって」
「ほんと? 私の事からかってない?」
「自分で見てみれば?」
手渡されたスマホを見つめる
「
廃人だった
「今度こそちゃんと捕まえなさいよ」
「勿論! 絶対離さない!」
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