02.12.象
「
よくないけど……
ちょっといいか、なんて言われて体育館の裏まで着いて行き、金を要求された中学時代の嫌な思い出しかない
「私、この後
そうなの?
聞いてないんだけど……
「ごめんなさい、言ってませんでしたね。でも待たせたら悪いですから私行きますね。では、また後ほど」
「えっ、ちょっと……」
脅されるかもだよ?
もう会えないかもしれないよ?
そのまま
「また後ほど、か。ほんとに付き合ってるんだな、
「……うん、まあ」
「で、
「……そうだね」
「そんな
礼……
嫌な予感しかしないけど……
「俺、
聞くなんて言ってないのに……
「紹介してくれないか、
無理だよ
僕の彼女なんだから……
「頼むっ!」
「頼むって言われても……」
「俺、ずっと気になってたんだよ。夏休み前ぐらいからよく見かけるようになっただろ? あの頃からなんだ……」
そうだっけ?
この後
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「これってアレですよね……」
「学業と育児の両立は大変。危険日には避妊することを勧める」
立ち話をしているのは避妊グッズ売り場の前。
これまで全く使用していなかったのだが、新生児の世話だけでも苦労する母親もいる中で、誰の協力も得ずに大学に通うというのはまず無理だろう。ましてや状況が状況故、実母に同居してもらうというのも現実的ではない。
「えっと……、手遅れかもしれません……」
「……」
「だって、運命の人なんですからっ。そんな事考えてる余裕なんてありませんよ」
「やれやれ、これで調べてみる。危険日だからといって必ず妊娠するわけでもない……、その時は
「それって……」
「勘違いしない。子育てを手伝ってあげるだけ。
「……ですよね」
でも赤ちゃんか〜
男の子かなあ、
それとも女の子かなあ♪
「ただし、この先妊娠したとしても
「……ですよね」
その話はここまでと、
「ちなみに買うならこのサイズ」
「へえ~、サイズがあるんですね。全部同じかと思っていました。じゃあ、他のは? こっちの方がデザインも可愛いのですけれど」
「そっりは多分入らない」
「入らないんですか……」
「大きさは人それぞれ。
「わかりました。馬はダメで象を選べばいいんですね」
「声が大きい」
「そうでした……。これ……、自分で買うんですか?」
妊娠検査薬と象さん……
これをレジに持っていくのですか?
「あの、これも一緒に……」
ならばと、持っていた妊娠検査薬も一緒に会計してもらおうと思ったのだが……
「これは
そう言って、一人でレジへと進み、平然と会計を済ませてしまった。
残された
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「だから頼むって。切欠が欲しいんだ」
まだ続いていた。
“終わりましたので帰りましょう。近くのドラッグストアで待っていますね”
「じゃあ僕帰るね。
「そういえば
「さあ……」
いるんだろうけどさ……
「見せろ」
「あっ、ちょっと」
「ドラッグストアか……。行こうぜ、
「行こうぜっって……」
一緒にくるつもりなの?
「
すたすた歩いていってしまう名前も知らない男。
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
ドラッグストアの前で待つ
「
「仲良くっていうか……」
言葉を詰まらせ、
ごめん
着いてきちゃった
上手く断れなかった
その表情から何かを悟った
「これを買ってきた。多分
「えっ、ピッタリって……」
硬直する
「帰って試す。二箱あるから朝まで頑張って」
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます