01.07.答え
担当教官が書き出されるのを定位置で待つ
順調に行けば今日で卒業。そうなれば
もし
確かにそうだ。
でも
どんな顔で
そして、運命の悪戯などではなく運営の計らいなのだが、
当然ながら
そんな
だが、その表情は固く、
最終枠の
はぁ、疲れたな……
一日中そんな事を考えていれば多少は疲れたりもするだろう。そもそも、このところ碌に眠れてないこともあり、目の下には酷い隈ができていた。観葉植物に隠れるその姿は
来た……
そして、とうとうその時が訪れてしまった。前の枠の教習がが終わり、
行かなきゃ……
今日は僕から行かないと……
思いとは裏腹に、弱々しい一歩を踏み出す
一方の
いいわ、私で卒業しなさい
それで自信が付いて、
私は……、それでいい!
そして、
でも、ちゃんとお願いしなさいよね
私からはもう誘えないんだから……
だって、二度も断られたら惨めじゃない
互いに歩を進め、出会ったのはロビーの中央。
「
やっばー、ちょっと言い方きつかったかも……
「よ、宜しくお願いします、
ぎこちない挨拶を交わすと、そのまま教習車へと向かう二人。何の会話もないまま、路上へと繰り出したのだった。
「そこを左に曲がってください」
「はい」
路上に出て10分程が経過したが、コースの指示以外全く会話がない。
この前は済みませんでした、
この前は済みませんでした、
この前は済みませんでした
……まずは謝らないと。
謝ればいいだけだ……
一日考えて出した結論である。先ずは一方的に会話を切ってしまった事を謝ろうと。当然だが、いきなりネオンの色に惹かれちゃいます、なんてのは考えてもいなかった。それは、謝った後、
一方、助手席でそわそわしている大人の女性はというと……
あれ、お願いしてこないの?
もう10分も経ってるのよ?
昼休みに勝負下着に変えてきたし、シャワーも浴びてきた
わたしは準備できてるんだよ、
ひっそりと職場を抜け出し、爪の先まで綺麗に整えてこの場に臨んでいるのだった。
臨戦態勢の
こうなったら私から……
などと考えていた矢先、信号が黄色に変わった。だが減速しようとしない
「前見て! 前っ!!」
「ごめんなさいっ」
「集中できてないみたいですね。こんな事では……」
職務上、叱責しようとした
「言い訳ならはっきりと言ってください」
じゃないでしょ……、私
これでホテルに誘ったら無理矢理連れ込んだみたいになっちゃうじゃない!
「あの……」
だが、
「何でしょうか?」
だからそうじゃないんだってば……
はぁ、もうないかな、
「この前は済みませんでした」
きつく当たってしまう
済みません?
「何のこと?」
「予想外の質問だったので何て答えていいのか解らなくって……、色々考えてたら結果的に黙り込む形になってしまいました……。一方的にに会話を切ったことをお詫びします」
えっ? そんな事?
そんなのどうだっていいのに……
それより、考えてくれたんだ……
「何……考えてたの?」
「色々と……です」
それって、ホテルに誘った答えよね♪
なーんだ、早く言ってよね♪
……いや待て、まだ肯定されたわけじゃないわね
「……そう。で、答えは?」
「答え?」
「考えてくれたんでしょ? その答えを聞かせてくれない?」
答えって……
あの時
ネオンの色……
答えていいのかな、今なら……
ええい、考えるだけ無駄だっ!
どうせこれが最後の教習、
たとえ軽蔑されることになっても二度と会うこともないんだ
だったら……
「惹かれちゃいます。その……、メチャメチャ惹かれちゃいます!」
これまで生きてきた中でこれ程元気いっぱいに声を発したことは無かったのではないだろうか。言い切った
「うん。いい答えね。じゃあ、お姉さんがその気持ちに応えてあげちゃうぞ。今日で卒業だね、
「はいっ!」
今日は宜しくねって微笑みかけてくれたあの時の
「信号、青になったわよ」
「はいっ!」
「ねえ、私でいいの? 卒業……」
「勿論ですっ! いえ……
「あら、私から誘ったのよ? いいに決まってるじゃない。頂いちゃうわね、
「喜んでっ!」
興奮気味の
「じゃあ、8時半にここで待っててね」
と、人通りの少ない交差点を指定されたのだった。
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