幼馴染の双子イケメンが転校生でやって来た→体育祭の借り物競争で美少女ぶりっ子に先を越された件【胸キュンスカッと】

雲川はるさめ

第1話


幼馴染の双子イケメンが転校生でやって来た→体育祭の借り物競争で美少女ぶりっ子に先を越された件【胸キュンスカッと】


秋のある日の事だった。

都会からここ、山梨県のとある中学に

そっくり過ぎて見分けがつかない

イケメンの双子が転入生としてやって来た。



彼らの名前はレン(蓮)とリン(凛)。

レンの方が弟でリンの方がお兄ちゃん。


レンもリンも、小学校の三年生の位まで

こっちの小学校に居て、それから

父親の転勤で東京に行ってしまった。

ぶっちゃけた話をすると。

彼等は私の幼馴染。私も彼等も市営住宅のA棟に住んでいた事もあって、よくお互いの家に行き来したり公園に行って遊んだりしたんだ。


レンは小さい頃から悪戯っ子で

ヤンチャな感じ。私の事も頭ポンポンしたりして、「背が伸びねーなぁ」と「ポンポンしたら

もっと縮んじゃうかなぁ?」と

よくからかってきていた。

レンときたら、

私に対してとかく優しくない。

コンプレックスである小柄なこと、

平気でつついてくるんだ。

ゲームも好きで

遊んでばっか。

不真面目であんまり勉強はできない。

しかし、だ。双子なのに、

リンの方は優等生だった。

小学生ながら学級委員を務めていた。

勉強もでき、運動神経も抜群。


また、リンときたら、性格に難がある

レンに比べたら私に対し、とかく優しい。

小学三年の頃かな。

逆上がりができずに困っていた私を

公園に連れ出してくれ、手取り足取り

上手く回るコツを日が暮れるまで

教えてくれたりしたんだ。

それなのに。

レンときたら、リフティングをしながら、

「へったくそ!まだできねーのかよ!」


とニヤニヤして眺めているだけだった。


そんなだから。

小さい頃から私はレンよりリンが好きだったんだ。


2人して顔は整っていて、似てるけど

中身は百八十度違っていたんだ。


さて、そんな二人だけど。

性格は抜きにして男前だから、

周りの女子は転入初日に双子イケメンに

夢中になってた。告白もされまくっていた。

でも、二人して返事を濁していたんだ。



「俺らの見分けがつくなら付き合うね!」

と言って。


正直な話、

幼馴染の私でも、見分けがつかなかったんだ。

話せば分かるけど、二人黙って並ばれたら

どっちがどっちか、サッパリわからなかった。


レンは私と同じクラスになり、

リンは別クラス。


私は幼馴染という事もあり、彼らと

「おい、ユナー、帰ろーぜ」と二人に

言われて一緒に帰っていたんだけど。


やっぱりそれを面白くないと

思っている女子がいたんだ。


ある日、廊下で私とは別クラスだが、

学年一の美少女ぶりっ子にして

社長令嬢のアケミに呼び止められた私。




「ちょっと山野さん!あんた双子くんと幼馴染

って聞いたんだけど、もう彼らに近づかないで」


「小柄でスタイルもよくない、顔もフツーな陰キャラがイケメン二人と並んで帰るとかマジでムカつくの!」


「フツーに考えて、あのイケメン二人と並んで帰って絵になるのは私の方なんだからね!」


「え...」


「言うこと聞かないと、あんたのお父さん、

仕事なくすよ?パパの経営してる会社で働いているんだから、リストラしよーと思えば

簡単にできんのよ」



「それは、ちょっと困るよ...」


「決まりね。

今日から双子くんとは私が一緒に帰る。

てか、今後は双子くんと必要最小限の会話しかしちゃダメだかんね!」


念を押され、私は渋々従ったんだ。

何しろ、車のローンを頑張って返しているお父さんが仕事を失うのは困るから。


月日流れて。

その、アケミと。

私は体育祭で直接対決をしなきゃいけなくなったんだ。



体育祭の借り物競争で、

あろうことが私はアケミと同じ組で走らなきゃいけなくなった。アケミと私はそれぞれ

クラスが違うからそれもあり得る話なんだけど、よりによって私とアケミ、

引いたお題が「好きな人」だった。

自分のクラスの応援席を見ると。

レンもリンもよりによって、

二人並んで談笑していた。

どっちがどっちか分からなかった。

一世一代の告白で、

リンに声を掛けたいけど判らない。

ぼやぼやしている内に、

アケミが、

「あーのーね!双子くん!お題が好きな人!なのー!

顔が同じだから、もうね、私、二人とも好きでー!」


ガシッと積極的に。

アケミが片方の腕を掴み、

私の前を横切り走って行った。



「んだよ、お前は何を引いたんだよ?」

「好きな人だって」


残されたのは。

レンだった。

話してくれて、よーやく気が付いた。



好きな人の方、凛は。

どっちでもいいやのぶりっ子に連れ去られて

しまったんだ。


困った。唖然してると、

レンがぶっきらぼうにこう言ったんだ。


蓮が「俺でよきゃ走ってやるよ。てか、走らなきゃだろ。

俺とお前は同じクラスで、

嫌いでも、一組が勝つために走んなきゃいけないんだから」


困り顔の主人公。


「ほら、行くぞ」



蓮に連れられ、仕方なく走る私。




しかし、私は途中でこけてしまったんだ。


「あ、バカ!ドジ!!」


「早く立て!!」


蓮の罵声で

凛が美少女アケミとともに振り向いてくれた。

それから、信じられないことが起きたんだ。



凛はぶりっ子アケミの手を振り払って

駆け寄ってくれた。

そして言ったんだ。


「俺、お前と走る!」


「そんな!」


ぶりっ子アケミは茫然としてた。




ぶりっ子が大慌て駆け寄ってきて、

今度は

レンの手を取り、目を潤ませて懇願するよーに

言ったんだ。

「じゃ、じゃあ、レンくん、私と一緒に走ってくれるよね?」と。


「はぁ?お前、とは無理。まず、

俺とお前、違うクラスだし、陰で

幼馴染のユナを陰キャとか言ってバカにするやつとは走れねーから」


「俺は応援席戻っからな!」



「そんな...」


アケミは結局、困ってゴールできなかった。



私はといえば、無事、

凛とゴールできたんだ。


この日、三人で一緒に帰ったら

凛に告白された。


あと、これはレンが教えてくれたこと。


「凛てばさ!誰に対しても八方美人で

煮え切らない。ユナの悪口、

陰で言ってるアケミさんとも、断れずに


帰っちゃうしさぁ!

そんな凛に俺、めちゃくちゃイライラしてさ。

ユナのことが小さい頃から好きなのに、全然行動しなくてさ!本日、俺のおかげで、遂に、

凛の本当の気持ちが見えたっつーか!」



レンの発言に。


凛は顔を真っ赤にしてた。

同じく私も顔を真っ赤にしたのでした。










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