第3話 決して覗いてはいけません

孝史とファムの間に静寂が続いていた

2人?1人と1羽?何方も辛そうにしている


【あの…ご主人様…】

ファムが口火を切って、孝史に話かける

『うん………』

何とも言えない空気が漂う


『ふ~………、まあ、何とかなるっしょ。』

深い溜息を吐いたあと、孝史は考えを先延ばしにする事にした。

【よろしいのですか?ご主人様?】

ファムが心配そうに尋ねる


『だって、今答えを出しても、

意味無いじゃん。

直ぐ戻れる訳じゃないからね。

その時になったら考えれば良いんだから。』

半ば強引に話を纏める孝史


【はい……わかりました。

ご主人様の決定に従います。】

ファムは言いたい事を半ば我慢し返事をする


『この話は終わり!

せっかく、あのクソ上司とお別れ出来たんだから、気持ちを切り替えないと!

あれ?俺ってどうなるんた?』

改めて新たな疑問が浮かんできた


【どうされましたか?ご主人様】

孝史の言動に不安ながら、答えるファム


『いや…こっちに連れて来られたから、向こうでの俺って、行方不明者になるのかな?』

率直な疑問が浮かんで来た


【ああ、そう言う事ですか、ご心配なさらなくても大丈夫です。

ご主人様をお連れした時に、原初の力が働き向こうでのご主人様の存在が切り離されております。

もしあちらへ戻られる場合、原初の力の修正力で、時間軸をずらして元に戻ります。】

淡々と答えるファム


『何だそのご都合主義、

便利な力だな原初の力』

結構強引な力だと、思う孝史


【そこまで、便利ではありません。

帰還時のみの修正力です。

ただ…フィラストでの記憶、経験は消えてしまいますので……】

また辛そうに俯くファム


『悪い、変な事聞いてしまった。

それより、これからどうすれば良いんだ?』

帰還時の代償を思い出させてしまった。

気持ちの切り替えでは無いが、話題を切り替え様とする孝史


【はい、今居る場所は、

静寂の森と言う場所です。

ここからまずは、賢龍の村を目指し、

そこで次代の賢龍に会います。】

これから向かう場所を伝えるファム


『了解、ファム

賢龍の村までどれくらいかかるの?』

【ここからだと大体、ご主人様の歩く速度で、2~3時間といった所でしょうか】

流石異世界、簡単に2~3時間歩くとか言っちゃうんだ

普通の日本人サラリーマンなら無理だな、

連日残業続きで会社から自宅迄歩いていた、孝史なら何とかなるかな?

うん、なると思う

なるよね?


『ファム、異世界って事は、やっぱ出るよね?モンスター』

ここはお約束な質問は外さないで、

聞いておこう

【はい、この辺りは、

ゴブリンやコボルト等の、

余り強くないのが出ますね】

はいお約束来ました!

『やっぱ出るんだ、ゴブリン

俺って戦えるかな?』

弱気なご主人様ですいませんファムさん


【ご主人様大丈夫ですよ!

ご主人様の左手には原初の翼があります!

時空の力に切断と言う能力があります!

試しに目の前の木に向けて試してみましょう!】

ふんす!と鼻息強く翼を器用に使って、両方の翼でガッツポーズを取る

『何気に器用だな、鳥なのに』

つい思った事が、口から出てしまった

【鳥なのにって、酷いですご主人様!

私だって、私だって……】

これまた器用に翼を使ってヨヨヨと泣く仕草を始める

『ごめん、ごめん悪気は無かったんだよ』

何だこのコント…うん!流そう!

そう決めた孝史はファムの頭をナデナデした

【ご主人様もっと首の辺りをナデナデして下さい!】

目を細めウットリした表情で孝史に注文を出しはじめた

『おい!泣いてたんじゃないのか?

ファム?』

冷静に突っ込む孝史

【ふぁ~!失礼しました。

がんぼ…いえ、よくぼ…もとい

演技が出来てませんでした。】

『……(おいおい、がんぼう?よくぼう?それに演技って言ってるよ?隠せて無いです。

一周廻って正直に白状するファムさん

実は結構ポンコツ?

でもまあどちらでも良いか、可愛いし)』

結局似た者同士な1人と1羽なのであった。


【ご主人様!

そっそれでは、気をとりなおして、

切断の練習をしましょう!

ご主人様の力は原初の翼の紋様を介して発動します。

左手を使って、切断と唱えながら、剣を振り下ろす様に手を振って下さい】

照れながら、強引に本題に戻すファム


『わかったやってみる。

ファムに言われた通り、紋様がある左手を頭上へ上げて、切断と唱えながら腕を振り下ろした。』


この後起こる出来事にまだ気付いていない


続く

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今回も読んで頂き、ありがとうございます。

思わせぶりなタイトルですいません。

書き上げている途中に、いつもはクールなのに、ポンコツ可愛いファムを出したくなってしまいました。


ファムはご主人様が大好きなのです!

デレたい気持ちを抑えきれませんでした(汗)

ある意味で、タイトルの伏線は出来たかな?

ファムのがんぼ…がダダ漏れと言う事で許して下さい。

少し強引でした。

すいません。


感想をお待ちしてます。













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