第2話 ここは何処?君は?

【ぴ~ぃ】

つん

【ぴぃ~】

つんつん

『う~ん』

孝史まだまだ寝ている


【ぴぃ~~♪】

つんつんつん

『ん?』

孝史が目を覚ました

【ぴぃ~♪】

嬉しそうに鳴く小鳥


『おはよう小鳥さん』

小鳥に朝の挨拶をする

【ぴぃ♪♪】

スリスリと顔に身体を擦り付ける小鳥


『う~ん、良く寝た~~』

違和感を感じる

『ん?』

何か変だ

【ぴぃ?】

首をかしげる小鳥

『ん?んん?』

やはり何か変だ


辺りを見回して違和感の正体に気付く

『何処だここは?俺寝てたよな?

自分の部屋で寝ていたはずなのに何処だ?』

この疑問に答える様に小鳥が答える

【ぴゅい♪♪】(グッスリとお休みでしたよ♪♪)

『ん???』

孝史はおかしな事が気になった

小鳥の鳴き声に重なって声が聞こえる

【ぴぃ?】(どうされましたか?)

やはり聞こえる


『あれ?小鳥さん喋れるの?』

意思疎通位は出来ると思ってはいたが、喋れるとは…

【ぴゅい!ぴゅい♪♪】(はい!やっと喋れました♪♪)

やはり会話が成立している

『どうなってるんだ?』

孝史の中で色々な疑問が解決していない


【ぴゅい、ぴゅゅい、ぴゅい♪♪】

(ご主人様がお休みになる時に、何処か遠くへ行ってゆっくりしたいとおしゃっていたので、私の世界にお連れしました♪♪)

不思議そうに首をかしげる孝史に説明する小鳥

『私の世界に連れて来た?

確かに眠る間際に、そんな事言っていた様な気がするけど、ここは何処なんだい。』


【ぴぃ、ぴゅい、ぴゅい♪】

(ここは、私の生まれた世界、フィラストと言う世界です♪)

『君が生まれた世界…フィラスト…』

続けざまに小鳥が話し出した


【ぴぃ、ぴぃ、ぴゅい、ぴゅい】

(ご主人様が本当にお疲れの様で、心の底から遠くへ行ってゆっくりしたいと願われたので、原初の魔鳥たる私の力を使ってお連れしました。)


『そうなのか……

あれ?ならどうして君は、

向こうの世界にいたのかな?』

率直に疑問に思った事を質問する


【ぴぃ、ぴゅい?】

(長い話になるのですが、大丈夫ですか?)

神妙な顔付き?で答え様としてくれる小鳥


『ああ、長くても話を聴くよ。

後、小鳥さんの声が2つ重なって聴こえるんだけど、どうにかならないかな?』

流石に2つの声が重なって聴こえる状況に少し頭が混乱している孝史は小鳥に要望を出してみた


【ぴゅい、ぴゅい、ぴぃ♪♪】

(私の魔法で、会話が普通に出来る様にしますね♪♪)

そう言うと、小鳥が少し光輝いた

【これで、どうでしょう、ご主人様♪♪】

光が収まると、小鳥の声が1つだけ聴こえる様になっていた


『小鳥さんありがとう。

普通に言葉だけ聴こえる様になったよ。』

普通に話せる様になり、小鳥にお礼の言葉を伝える


【いえ、ご主人様の希望を叶えるのが、

私の使命ですので、気になさらないで下さい♪♪】

嬉しそうに答える小鳥


『え~と、そのご主人様って……?』

さっきから小鳥がしきりにご主人様と孝史の事を呼ぶのが疑問だった


【はい♪ご主人様は、ご主人様です♪

私を助けて頂いた時に、縁が結ばれました♥】

恥ずかしそうにモジモジしながら、答える小鳥


『どうして傷の手当をしただけで、ご主人様になるんだ?』

さっぱりわからん、どうしてだ?


【先程の質問にも繋がるので、併せて説明致します】

モジモジが収まり、真面目な表情になる小鳥


『うん、よろしく』

一瞬、呆気に取られながらも、

切り替える孝史


【順を追って説明します。

(説明内容は箇条書きにします。)

 一、小鳥さんは、原初の魔鳥と呼ばれ、この世界でリーダー的存在で、火、水、風、土、光、闇の属性聖獣の統括をしている

 一、フィラストには、自分の様な存在の他に聖獣、魔獣、龍、竜、人、亜人が住んでいるが、中には邪悪な者も存在する主に魔獣や竜と一部の龍(龍とは竜が何千年も生きて存在が昇華して、自我があり、殆どが自分に危害がない限り暴れない存在で話会いが出来る)

 一、邪悪な存在である、魔獣、竜が一部の龍(邪龍とします)に扇動されて暴れ回っている

 一、小鳥は聖獣、龍と共に邪龍共と戦っていたが、邪龍に唆された、亜人族である竜人の裏切りで龍達が倒され小鳥と聖獣だけになってしまった

 一、邪龍からの一撃をあびて負傷した小鳥は、異次元の穴に落とされ孝史の世界に落ちて来た

 一、傷付いた小鳥は、力の限り助けを求め、その時孝史に助けられた

 一、孝史が傷付いた小鳥の身体に触れ、血に触れ、孝史の生命力の一部が小鳥に流れた事により、縁が結ばれた


説明は以上になります。】

小鳥は淡々と説明した


『なるほど、そうだったのか

小鳥さんは…』

孝史の言葉を遮る様に小鳥が話し出した


【あのご主人様、何時までも小鳥呼びのままですと、その私の存在意義がないのですが…】

申し訳無さそうに小鳥が答える

『ごめん、何時までも小鳥さんじゃ嫌だよね。何て呼べば良いかな?

原初の魔鳥さんだから、原初さん?魔鳥さん?』

【あの~出来れば、別の名前を付けて欲しいのですが】

またまた、モジモジしながら小鳥が上目遣いで要望を出してくる

『(なっ!なんだこの可愛い生き物は!)』

一瞬孝史は、新たな扉を開きそうになりながも名前を考える事にした


『う~ん……原初だから…ファースト?

いや、それだと男っぽいし、

う~ん…あっ!閃いた!

ファーストを少し文字って、

ファムにしよう!

君の名前は【ファム】だよ。

これから宜しくね【ファム】』

孝史が名を決めた瞬間、ファムの身体が光輝き、小鳥サイズから鷹サイズまで大きくなった


【ご主人様、名を付けて頂き、

ありがとうございます。

これからは、ファムと名乗らせて

頂きます】


『うん!宜しくねファム』

孝史がそう答えると、ファムが羽ばたいて、孝史の肩に降り立った

【ご主人様、左手を私の前に出して下さい】

ファムに言われるままに、孝史は左手を差し出す

【少し失礼します】

そう言うと、ファムが翼を使い左手を包みそのまま嘴でキスをした

『ん??』

孝史は何が始まるのかドキドキしながらその光景をみつめる

ファムがキスをした左手の甲に翼の紋様が現れた

『何?これ?』

孝史はファムに質問する

【はい、これは原初の翼の紋様です

ご主人様と縁を結び、名を授けて頂き、

この紋様を身に着ける事で、原初の力の一端を使える様になります】

『ふ~ん、どんな力があるの?』

【はい、原初とは始まり、始まりとは創世、そして物事を見渡す者、その力は、ご主人様の世界の言葉で、時空、創造、鑑定になります。

ですが、まだ原初の翼がご主人様の身体に馴染んでおりませんので、ほんの一部しか力が使えません】

少し申し訳無さそうに、ファムが答える


『そっか、それはしょうが無い、おいおい使える様になって行こう!

あっ!そうだ!ファム?』

孝史は1番肝心な質問を残していた

【はい、何でしょう?ご主人様】

『俺って、ファムにこの世界に連れて来て貰ったけど、元の世界に戻れるのかな?』

【はっ!申し訳ございません、その説明を失念してました。

元の世界へ戻る事は可能で御座います。

ですが……】

ここまで語ると辛そうに言い澱む

『ん?気にしないから言ってみな』

孝史が、そう答えると、意を決して続きを語り出した

【はい…、元の世界には戻れますが、ただ直ぐには戻れません。

私の力が戻れば、可能ですが、ご主人様をフィラストへお連れするのに原初の力を消費してしまいました。

申し訳ございません。】

申し訳無さそうに俯くファム


『まあ、戻れるなら良いか』

戻れる事が判った孝史は少し気が楽になったが、次のファムの言葉に悩む事になる


【元の世界へは時間が掛かりますが、

戻れます。

ただ、戻る時にある現象が起きます。】

『ある現象?』

どんな現象なのだろう?

【はい、原初の力で時空に穴を開け、ご主人様の世界と繋げるのですが、時空の穴を通る時に、この世界での事が全て記憶から失われます。】

悲しそうにこの事実を伝えるファム


『そんな、記憶が消えるのか……』

思っても見ない代償だった

『ファムの事忘れてしまうのか……』

そう孝史が呟いた後、2人の間に静寂が訪れた


続く


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

投稿初日での連投です。

3話目は明日投稿出来る様に頑張ります。

明後日になってしまったら、ゴメンなさい。

可能な限り毎日投稿を目標にして行きたいと思います。

無理だった場合でも、2日に1話は上げられる様に頑張ります。

拙い文章ですが、お付き合い下さり、ありがとうございます。


お読み頂いた方からの、感想、応援の程、よろしくお願いします。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る