2話:伝承者2
―――――
なんだ、この娘は……
俺の【
有り得ない。有り得ん事が起こっている。
娘の従者共には、いつも通り当然、利いている。俺の言葉通り、その指図通り動くべく、次の言葉を待っている――俺の
だのに、この娘は、その少女は、正気。いいや、寧ろ狂気。
その心を捕らえてない。意志を奪えてない。俺の言葉に応えていない。
支配できていない!!
あの男以外に、まさか俺の“摂理”が通用しない者がこの世に存在するとは思ってもみなかった。
思いも寄らない事態に無論、衝撃を受けはしたものの、だからと云って
確かに多少驚きはしたが、寧ろ、興味深い。
伝承を使ったのは、それが最も手っ取り早いからに過ぎない。
俺自身、そして、標的も含め、無駄な時間の浪費を抑え、余計な考えを巡らす必要性をなくす。故に効率的。
そんな優れた生産性を、いとも
左目の
――フィーッッッ!
甲高い指笛の響きに呼応するかのように、辺り一面、異国の装束を
村、違う、街。街並みを作り上げる程の人群れ、それは最早、集落。一体、今迄どこに隠れていたんだ、という程の規模。
膨大な人波が、息を殺し、
その事実だけでも驚異。
服従の術式が解かれ、我に戻っていた従者が驚嘆し、叫ぶ。
「な、何者だ、お前達はっ!!?」
「
吐き気を催す程の邪悪に立ち向かう非道なる覇王は相対的に英雄たり得るのだろうか? 武論斗 @marianoel
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