サプライズ動画の代わりに2人の物語を

@toy-moka

第1話

今日はコロナの影響で延期になった結婚式の86日前


正直結婚式自体には乗り気ではなかったのだが、

1年越しにようやく結婚式が行えるとなると流石に楽しみではある。


そう物思いに耽っていたらふと大事なことを思い出した。


「あ、そういえば、、、」


サプライズ動画を妻の為に作ろうとしていたのだった。



すっかり忘れていた。


いや忘れていたというより、気づかないふりをしていただけなのかもしれない。


というのも、


そもそもサプライズ動画を作成しようと思ったのは、

1年前の私で、


今の私はサプライズ動画作成に対して批判的なのだ。



「どうしようかなぁ。」


ふと口をついて言葉がこぼれる。


「まぁ、とりあえず、書くかぁ。」


悩んだ時は文章を書いて整理するタイプの私。

とりあえず、適当に文章を書き始めてみた。



・「書き始めたと言っても、手書きではなく、パソコンにタイピングしているだけなので、正確には書いてはいない。いや、そんなことはどうでもいいか。」


なんてことからはじまり


・「付き合ったのが高校3年生かぁ」

・「コードブルーのお祝いメッセージのパロディー」

・「簡単そうやし、おもろそう」

・「もう丸8年も一緒におんのか長すぎ―」

・「8年ってことは、何日?」

・「結婚式当日で、3,010日」

・「時間にすると?72,240時」

・「ようわからん。」

・「お母ん死んだのが、中学2年生の時やから14歳。」

・「親が離婚したのが、小学5年生やから11歳。」

・「もうすぐお母んと過ごした時間よりも長いやん」



なんて言葉たちを書きなぐっていたら、閃いた。


「サプライズ動画じゃなくて、サプライズ物語でいいやん!」


はい、天才。



我ながら、天晴だ。


「よし、そうと決まれば、さっそく妻との思い出を順番に書いていくか。」


「まずは、えーっと、付き合い始めたのは、高校3年生の時で、、、、」



「こんにちはーーー」



聞きなれた声。


来客だ。


心の中で、舌打ちをしながら、


「タイミング悪いわ、ばかたれめ。」


なんて悪態をつきながらも、どこか心はウキウキしながら、パソコンを閉じる。

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