10年前の3月11日

オレンジのアライグマ【活動制限中】

第1話

 あの日は確か、六年生を送る会の練習をしていた。家に帰ったら、週末だから好きなアニメが見れるはずだった。


 

 突然、体育館がゴドゴトと揺れだした。


 地震だ。生徒は皆、椅子の下に潜り込んだ。


 先生が非常口を開ける。しかし、雪が積もっていて出られない。


 仕方なく、揺れがおさまってから狭い通路を通って校舎に入り、昇降口から避難した。




 昇降口とグラウンドに挟まれた細いアスファルトの道にしゃがんで待機していると、親友がウィンドブレーカーを貸してくれた。


 雪が降っていたあの日、あのウィンドブレーカーが、どれだけありがたかったか私の文章では伝えきれない。




 暫くすると、先生に教室に戻って荷物を取りに行くように指示された。何度も余震に襲われて、怖かった。

 

 校舎に入るときにウィンドブレーカーは返した。でも、きちんとお礼ができたかは覚えていない。


 もし、お礼を言っていなかったら謝りたい。




 その親友とは、すでに仲違いしていて、連絡が取れない。


 でも、あの日のことはは今でも忘れていない。


 忘れたくない。



 今更だけど、


 ありがとうございました。

 


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10年前の3月11日 オレンジのアライグマ【活動制限中】 @cai

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