第22話
実母が居るであろう最寄り駅を降りた大夢は、スマホのマップアプリを開くと直ぐに向かった。
此処から、10分程だ。
向かっている最中、心臓がバクバク脈打っていた。
〈…そういえば、お袋とはもう10年以上会って居なかったな!多分、歩夢になっていないと会ってくれないだろうし?…母さん、俺が自売りなんてやっているって言ったら、何て返してくるだろう?〉
「ふふッ」
大夢は、自分が置かれている状況が情けなく感じつい鼻で笑ってしまった。
そんな事を考えていたら、ボロボロの借家みたいな一軒家が見えてきた。
「あそこ…か!?」
大夢は、興奮と緊張で歩くスピードが少し遅くなっていた。
ようやく、一軒家の前に着いた大夢はインターホンを鳴らそうとした。
だが、インターホンが無くボロボロの入り口の扉を叩くと、中からしわくちゃの40代後半とおぼしき中年女性が出てきた。
その顔に見覚えがあった大夢は
「…母さん!」
その言葉と同時に、母であろう女性は
「歩夢!」
と叫ぶと歩夢になっていた大夢を思い切り抱き締めた。
「…てっきり歩夢が亡くなったものと思っていたよ!あの、事故の時遺体が無かったみたいだから可笑しいと思ってたんだけど!」
そう大夢に伝えると、母は部屋の奥に有る歩夢の位牌まで連れて行ってくれた。
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