第19話
冷蔵庫から水を取り出し、渡してくれる。
「緊張してキョドってるところが面白いから、しばらくお話しましょうよ」
なんと返答したら良いか分からず、口ごもってしまう。
「これからくすぐられるんだと思ってそわそわしてる時間も楽しくないですか?」
私のことをまっすぐ見ながら聞いてくる。
「当事者でなければ、楽しいですね」
弱々しく答えることしかできない。
「じゃあ、今すぐ始めます?」
そう言いながら近づいてくるものだから、思わず後ずさりしてしまう。
藤野さんは心底愉快そうに笑いながら
「逃げないでくださいよ。そんなに怖いですか? 僕のこと」
からかうような口調が悔しくて、思わず言い返す。
「別に怖くないです。私、弟いるんですけど、弟より年下の人は、なんとも思わないです」
沈黙が流れる。沈黙に焦る私を見て、藤野さんは楽しそうにしている。悔しい。
その後も、ただただからかわれるだけの時間が流れる。
いつ、始まるのかと思うと気が気じゃなくて、こんなことなら人思いに始めて欲しい。
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