第93話 詠史と稜弥の心情
瑠璃の海の浜辺にて砂の城を造っている、湖紗若様と鈴様。なずなに瑠璃殿を横目に物語を書いていた。
楓禾姫様が浜辺に……
(詠史殿の所に先に行った……)
少し……イヤ、かなり気持ちが落ちてしまって。
詠史殿と私の間に、湖紗若様達がいらしても視界には映って来る訳で。おまけに遊びながらも、鈴様がこちらを気遣わしそうにしておられるし。なずなも。
幸い……なのか? 会話は聞こえない。
(集中して書くぞ)
『稜弥様? 何をしているの?』
瞬間、単純なんだな。私は。楓禾姫様が来て下さった事に気分が持ち直したんだから。
(後に、私の方が難しそうな顔をして、何かをしていたから 後にしたんだと聞いて。心の霧が少し晴れましたからね。丁度、外喜について記してたから顔が険しかったんでしょうね)
『はい。楓禾姫様との会話を記したら、 ずっとその事を忘れないし。見返して思い出す事が出来るじゃないですか』
『もう! 冗談は辞めて!』
呆れた表情されたり、凄い。と素直な気持ちを言って下さったり、表情をクルクルと変える楓禾姫様が愛しくて。
日記に楓禾姫様との会話を記したら、ずっと忘れずに。見返して思い出す事が出来る。冗談ではないのですがね。
ふと、会話が途切れた時に。
「稜弥様と、詠史殿にお話したい事があります」
そう、おっしゃられて。
お可哀相に、その顔色は青ざめ、緊張されているのが痛い程に伝わってきたんだ。
瑠璃の海の浜辺にて砂の城を造っている、湖紗若と鈴様。なずな殿に瑠璃殿を横目に絵を描いていた。
楓禾姫様が浜辺に……私の所に先に来て下さった……
嬉しくて。
しかし、稜弥様と私の間に湖紗若達がいらしても、視界に稜弥様は映って来る訳で……
険しい表情にて、集中している風に見せておられるのをヒシヒシと感じて。おまけに遊びながらも、鈴様があちらを気遣わしそうにしておられるし。なずな殿も。
『詠史殿? 何をされてるの?』
『同じ構図の絵だけど色が違うわ』
『はい。色の濃淡の違う墨を作って。同じ構図でも、色の濃さや塗り方を変えたらどう見えるかな? と思って。 色々試していたんです。絵を描くのは趣味なんです』
とお答えすれば。
『なるほど…… 色が濃いのは、鈴兄上様の力強さがよく表れてて。淡い色合いの絵は、なずなの儚げな様子が良く描かれている気がするわ。湖紗若様は可愛いわ。瑠璃ちゃまも』
きちんと、私の意図した事を理解して下さって。
湖紗若びいきと笑えば。
『何か問題でも?』
『いえいえ』
少しムッとして、拗ねられたのがお可愛らしくて。
恐れ多いけれども"軽口"を言い合えたのが幸せで。
ふと、会話が途切れた時に。
「稜弥様と、詠史殿にお話したい事があります」
そう、おっしゃられて。
お可哀相に、その顔色は青ざめ、緊張されているのが痛い程に伝わってきて。
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