第14話 殿様の涙
稜弥side
殿(楓禾姫の父親)の部屋-
私は、父に
『話をした事が御座いますゆえ、殿様の寝所に*巳の
と使いを出した。
遅れては失礼にあたるから、と。早めに寝所を訪ねたのだけれど既に父は来ていて。障子戸を開ける旨を使いの者が告げ開けても気が付かずに、床に臥せっておられる殿様を見つめている父。
私は、父の背中から感情を読み取ろうと、入り口にて様子を伺っていたのだが。
「稜弥? いつまでそうしているつもりだ?」
(気が付かれていたのか……そうだよな)
下座に腰を下ろす父の前に(上座)座る訳には行かぬので、左隣に腰を下ろして。
(殿様にも聞きたき事が……聞いて貰いたかったのだが……)
眠られている殿様……
(仕方ない……)
「父上、凛実の方の叔父の、
開き直って際どい表現を使う事にした。
「ふふ」
父がそんな私を笑っておられる。
「殿様が病がちな事。楓禾姫様が幼い事を良い事に、色々暗躍されているのを探り証拠集めておられる」
「稜弥……殿様の御前で。言葉を慎みなさい」
殿様が上手く対処して下さっていたら…… そんな想いで言葉を選ばな過ぎた……
反省しつつ、ふと殿様に目を向けると。
「殿様……」
「兄上……」
殿様が涙されていたんだ。
「殿様申し訳ございませんでした」
「稜弥。良いのだ。そなたの想いは分かるゆえ。そして……稜弥を。楓禾姫と湖紗若を守る為に動いてくれている
「
「勇。そなたなら稜禾詠ノ国を動かす事も可能なのに……」
「六年前の出来事は見逃す事の出来ない事ゆえ。それに私の役目は楓禾姫様と湖紗若様の後見役であり、将来 楓禾姫様と湖紗若様を補佐していく事になる稜也へ、心得等を教えて行く事。爽兄上の補佐なのです」
(父上……)
「生意気言ってすみませんでした。 私が思っていた以上に殿様も父上も、楓禾姫様を……そして湖紗若様を思っていて下さった…… 私も守られていたのですね」
父上は、政治の表舞台に立つ事なく。一歩引いた所で動く事で。私が家臣同士の争いに巻き込まれないように守って下さっていたんだ。
「六年前の出来事を教え頂きたいのです」
*巳の
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