第13話 母の涙……


凛実の方の部屋


『良いですね。凛実の方様』


 母上様に、話を聞くべく部屋を尋ねると。


(大叔父上……)


 母上様の叔父が、母上様にいつものように、一方的に何かを説いている所だった。


 -ガラっ-


「おや、鈴若! それでは失礼する」


 微笑を浮かべているものの、目元は笑っていない……


 大叔父上がいたら、話にくいし、良かった。と思いながら。


「母上様、お加減はいかがですか?」


 敷居に腰を降ろしながら尋ねると。


「 鈴若様! 貴来て下さったのですね!」


 布団に横になっておられた母上様。身体を起こそうとされるので手で制して。


「母上様。お加減が優れないのに申し訳ありません」


「ふふ、鈴若様のお顔を見たら良くなりましたよ」


 大叔父上のあざとい微笑みとは、違う、儚き笑み……


(母上様を苦しめて……許せぬ)


「母上様、本来私は若と呼ばれる立場にはないと思っています。楓禾姫より先に生まれた……」


「 鈴若様……」


「大叔父上は、母上様が桜王家に入られた際に、補佐……話相手的な立場にて一緒に桜王家に来たはず。私と楓禾姫が生まれた時からの家臣同士の反目が、湖紗若が生まれた瞬間から激化して行き……私の後見を担うようになった大叔父上は……私を跡継ぎにすべく……」




 目を伏せて話していた私。ふと顔を上げ母上様を見ると。


 母上様は涙されていた。



「申し訳ございません母上様。今や、実質的に桜王家を動かしているのは、叔父上ですが、私が疑念に思っている事には母上様は関わっておられないと思っております。病に臥せっておられる殿……父上様も。なぜなら私の苗字が源本であるからです。桜王の家は楓禾姫が継ぐべきと……湖紗若が生まれてた時に何が起きたのか……知りたいのです」


 止まらぬ涙を流しておられる母上様。子供である私が、母様のお心を乱している事が。


 辛くて心苦しくて……


「私は幼すぎて御守りする事が出来なかった…… 十七になりました。これからは私が御守り致します。私を守る為源本の苗字のままにして下さった母上様と、父上様を。そして楓禾姫。湖紗若を。稜弥殿と詠史も、それぞれの視点、想いから動き出す事にしたようです。何よりも、楓禾姫がお立ちになられたのです。だから……」


「いつか本当の事を話せる日が来る事を 待ち望んでいました……ありがとう鈴若様。 あの日の事、あの時の事をお話致します……」















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